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Vol.137 オリンピック。無観客でやるくらいなら延期すべきだ

医療ガバナンス学会 (2021年7月20日 06:00)


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伊沢二郎

2021年7月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

「東京都アドバイザリーボードの発表は実態と言えるのか」

先月下旬、東京都のアドバイザリーボード座長でもある大曲貴夫医師は人流がこのまま推移すると、7月第4週には新規感染者数は千人を超えると述べた。

この時期の新規感染者は600人前後、検査数3日間平均は7千人前後ですので陽性率は概ね9%と高い、これは人口の割に検査数が少ないからでしょう。3波感染者数ピーク時の約半数弱の検査数です、はたして実態を現しているのだろうか。
デルタ株の感染者はウィルス量が多いと聞きます、それ故感染力も強いのでしょうが市中をこの株が席巻しようとしているのに、検査数を増やすことはあれ何故減らすのか理解できない、危険なことだ。

やったとしてもまだ々少ないが、せめて3波時の最大検査数を維持していれば、より実態に近い状態を示すことができているのではないか。これにより陽性者は9%より低くなる反面、新規感染者は大きい値になることでしょう。
7月10日NHKは新規感染者は950人と報じている。東京都のアドバイザリーボードが7月第4週とした千人超えは発表時既にその領域に会ったのではないのか、疑念が残る。

話は少し逸れますがこの有り様、1波の折りに押谷 仁・東北大学教授がNHKの特集で新型コロナについて「全ての患者を見つなければならないと云うウィルスではない」・「PCR検査数を抑えていることが日本がこう云う状態で踏み止まっている」と述べたことを連想させる。

検査を増やせば医療に混乱をきたす、とでも言いたかったのであろうが、この方針の結果は自身気ずかず内にウィルスキャリアになってしまう人達が増え、市中感染を蔓延させることに繋がった。

話を戻します。これ迄のやり方、1波以降数値の大小や微調整は有るものの大きくは変わらない。オリンピック開催の為としか考えられない病床逼迫度が軽くなるような集計方式の変更は寧ろ後退していると言わざる得ない。

それまでして回避しようとしたが、4度目の緊急事態宣言発出となり、無観客での開催に追い込まれた。
こんな状況下、予定通りに夏の開催を強行しようとするから、何の為に誰の為のオリンピックか、の批判を浴び中止論を招くのだ。

縦しんば無観客で強行したところで国民生活や行動は変わらず人流の増加傾向は続くことでしょう。そもそもロックダウンでもしない限り人流を抑える事などできやしない。
昨今、人流と感染の相関がよく言われるが二度程、感染と人流が関係してないと感じたことが有った。

一つは4波が下げ基調から下げ止まりに至る頃、人流は増ているのにこれとは関係なく、2週間前も反映することなく感染者数は減って行った。もう一つは1波時の緊急事態宣言前、この効果が現れる以前から感染は下げ基調にあった。然したる対策をしなくても感染の流行は下って行ったと云うことです。

このことは上 昌広先生が提起する、新型コロナの流行と季節との相関を知るまで疑問でした。
流行だから山と谷が有る、谷に向っては人流を抑えるまでしなくとも三密回避程度で済むのではないか。前述の例は季節性の流行トレンドに当てはまったと理解します。

振り返り下がっているこの時、上昇に転じることを待たずして可能な限りの検査をこなしていれば2波・3波・4波は、季節性の影響は大きいことでしょうが、異なる山の形になっていたのでないか。折角減少したのに活かされていない。

4波の次は5波。東京も夏のピークに向かうところだが、少なくとも4波が下げ止まっている間にデルタ株を含め可能な限りの検査をやるべきだった。この判断の遅れと云うか、やっていないことが今後如何なる結果を招くことになるのだろうか。

東京の今日(7/13)は新規感染者830人、前週同曜日比140%。3日間平均検査数は6,633件、陽性率12.5%、これが実態なら大変だ。検査数を増やす程実態の陽性率に近くはなるが、感染者数はとっくに千人を超えていることだろう。そうならないように検査数を抑えてるのか、又もあの方の発言を想起させられる。オリンピックを目前に何故検査数が少ないのだ、オリンピックだからこそか、上部の数字合せを感じる。

長いコロナの闘いは、効率的で且つ最小限の犠牲で済む対策が必須だが、その為には感染流行の季節性を前提にした対策無くしては考えらてない。この事で、いつ何をするかの説明を政府からも感染症ムラからも聞いたことがない。

一年半も経とうとするコロナ禍。経験・治験・失敗を積み普通ならよりましになるはずだが、しかし出てくるもの、やってる事は首を傾げることばかりだ。
概ね半数の家庭内感染を無視し8%の飲食狙い撃ち・病床逼迫度の集計方式変更・変異株調査の圧倒的少なさ・入官厳格化に反し抗原検査を続ける・五輪関係者の感染を非公表に変更・弾けたバブルに代わる方策無し、上げたらきりがないので止めますが、お流れにはなったが飲食店の兵糧攻め軍資金攻めに至っては真面な判断ができているのか疑う。
事程左様に、経験・治験・失敗を積めば積むほど後退していると言わざる得ない、普通は逆だ。

このような中新型コロナ夏のピークに向かって、このまま予定通りに突き進むと言うのか。
オリンピックをいつやる。今でしょ、ではない。夏のピークが下げ止まっている間だの秋だ。

この時季ならワクチン効果も相俟って感染状況は全く異なるはずです。諸々の課題も解消できて、本来の平和の祭典に相応しいオリンピックになると思うし、何よりIOC改革にも繋がるのでは。
これに文句をつけるとしたら、NBCに代表されるスポンサー企業とこれと一体のIOCくらいでしょう。根っ子にあるのは“ステークホルダーの都合”要は金です。現にNBC会長は東京五輪は最大の収益となる、と言って憚らない。

解決できない問題を抱えてこのまま夏のオリンピックに突き進めば後年、NBCに負けた証のオリンピックと言われるのは間違いないと思う。
延期に準備は要らない、直前であっても可能だ。今直ぐ延期の宣言をすべきだ。

上 昌広先生は以前から新型コロナ流行と季節との相関を提起し、これを前提にオリンピックは秋に延期すべしと提唱されています。
私、ただの一市民ですがこのことを支持し、この提唱を此処に書き留めます。

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