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Vol.23045 海外メディアの勧め

医療ガバナンス学会 (2023年3月9日 06:00)


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医療ガバナンス研究所
上昌広

2023年3月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

どうすれば、自分で考えられるようになるか。このような質問を受けたときには、「まずインプットを増やすように」と答えることにしている。ファクトを知らずに、論理的に考えることはできない。我々が、まずやるべきは情報を収集することだ。
情報ソースとして、まず目を通すべきは新聞だ。私は、毎朝、全国紙5紙、地方紙3紙(東京新聞、神戸新聞、福島民友)、ニューヨークタイムズやウォールストリートジャーナルなどの海外メディアに目を通すことにしている。福島民友以外は電子版を発行しており、iPadで読むことができる。便利な世の中になったものだ。

このような媒体に目を通して驚くのは、日本と海外メディアでは、扱う記事に大きな差があることだ。その差は朝日新聞と産経新聞の比ではない。
例えば、1月28日のニューヨークタイムスの一面は、中国、アフガニスタン、気候変動、芸術についての4つの記事、1月27日の一面は、中国勢の撤退が米国の不動産に与える影響、NATO、英国の貿易、ナチスの記事から構成されていた。合計8つの記事のうち、米国関連は一つで、政府関係はなかった。

一方、1月28日の朝日新聞一面の記事は、岸田総理によるコロナ5類転換発表、厚労省の中絶内服薬承認への動き、東京都による0~18才への5000円助成、そして連続強盗指示ルフィだ。1月27日は、トヨタ社長交代、コロナ5類変更、外務省による海外永住者増加の発表だ。合計7つの記事の全てが、日本国内の動きを扱っており、4つは政府、1つが東京都庁に係わるものだ。
朝日新聞の一面は、政府関連の記事で溢れ、ニューヨークタイムスは世界のニュースを報じる。筆者は、英BBCやイスラエルのハーレツなどにも目を通すが、ニューヨークタイムスほどではないにしろ、世界の動きにウェイトを置いている。日本の新聞の異様さは際立っている。

日本のメディアは、テレビからYahoo!ニュースなどのニュースサイトまで、元の情報は新聞取材に依存していることが多い。真面目にニュースをフォローすれば、支持するか、批判するかはともかく、無意識のうちに、政府の発表に影響される。
マスコミは世論を反映し、マスコミが世論を作る。私は、この差こそ、日本の特異性を象徴していると考える。日本の特異性とは、徹底的に視点が内向きであることだ。言い換えれば、世界に関心がない。日本のメディアだけをフォローする限り、視野狭窄に陥らざるを得ない。

そうならないためには、日本政府とは異なる独自視点でニュースを提供している海外メディアをフォローすべきだ。ニューヨーク・タイムスは、その一つだし、ネイチャーやランセットも同様だ。いずれも前半は、編集部が選択したニュース記事を配信している。
ネイチャー2月2日号の社説は「ある分野を新たな方向に導くような論文や特許が近年激減しているという報告をきっかけに、現代科学におけるその意味合いについて活発な議論が繰り広げられている」と「数学はさまざまな文化の中で生まれ、発展してきたのであり、数学の「脱植民地化」の動きを恐れることはない」だし、ランセット1月28日号の社説は「NHSは病んでいるが、治療可能である」だ。このような問題が世界で議論されていることは、日本のメディアをフォローしている限り分からない。
日本と海外メディアを併せて読むことで、世界での議論の流れ、さらに日本の立ち位置や対応について合理的に考えることができる。是非、フォローすることをお勧めしたい。

 

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