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Vol.24216 坪倉先生の放射線教室(19) 高レベル放射性廃棄物

医療ガバナンス学会 (2024年11月19日 09:00)


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この原稿は福島民友新聞『坪倉先生の放射線教室』からの転載です。

福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授
坪倉正治

2024年11月19日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●発電後、燃料処理で生じる (https://minyu-net.com/news/detail/2024051119871)2024年5月11日配信

日本中の多くの原発で廃炉が進んでいます。廃炉に伴って生じるごみ、廃棄物のうち、約7%が放射性物質の存在を考慮しなければならないものです。7%のうちの5%程度は、クリアランス制度により、放射性廃棄物から除外され、普通の廃棄物として処分したり、資源として再利用したりできるようになるものです。

そして、残りの2%程度のことを、低レベル放射性廃棄物と呼びました。低レベル放射性廃棄物は、放射能レベルの比較的高いものから低いものまでの三つに分けられ、それぞれL1、L2、L3と呼ばれるのでした。

では、高レベル放射性廃棄物とは何でしょうか。

高レベル放射性廃棄物は、使用済みの燃料を処理する際に生じるものです。使用済み燃料から、再利用可能なウランやプルトニウムを取り除き、残った放射能レベルの高い廃液を、高温のガラスと混ぜて固体化したもののことを呼びます。ガラス固化体と呼ばれ、一つずつは、直径40センチ、高さ1・3メートルほどの円柱です。

いろいろと処理をされた後のもので、爆発したり、臨界状態になったりとはなりませんが、非常に長期間の保存が必要になります。

高レベル放射性廃棄物は、通常の原子力発電所の廃炉に伴って、その建物から生じる廃棄物というわけではなく、発電のために用いられる燃料を処理する際に生じる廃棄物になります。

 

●数万年超、地層の中で保存 (https://minyu-net.com/news/detail/2024051819945)2024年5月18日配信

高レベル放射性廃棄物は、使用済みの燃料を処理する際に生じるものです。使用済み燃料から、再利用可能なウランやプルトニウムを取り除き、残った放射能レベルの高い廃液を、高温のガラスと混ぜて固体化したもののことを呼びます。

これまで、日本は国内の原子力発電所で発生した使用済み燃料の再処理を、フランスやイギリスに頼っていました。国外でガラス固化体にしたものを、日本に戻し、それを青森県の六ケ所村で冷却のために一時貯蔵しています。

ガラス固化体はさまざまな処理をされた後のもので、爆発したり、臨界状態になったりとはなりませんが、数万年以上の非常に長期間の保存が必要になります。ですが、数万年以上も人工の建物が維持できるのかどうかなど誰も分かりません。

処分方法として、宇宙まで持っていって廃棄する宇宙処分や、海洋底処分、氷山の奥に埋める氷床処分などが検討されました。しかし、それぞれ、宇宙への発射技術などの問題が指摘され、ロンドン条約、南極条約で禁止されています。

そのため、現在は300メートル以上の深い地層が持つ物質を閉じ込めるという性質を利用した「地層処分」が人間による管理を必要としない現実的な方法であるというのが、国際的に共通した考え方となっています。

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