
医療ガバナンス学会 (2026年3月19日 08:00)
この原稿は福島民友新聞『坪倉先生の放射線教室』からの転載です。
福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授
坪倉正治
2026年3月19日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
https://www.minyu-net.com/news/detail/2025030811440133951 (2025年03月08日配信)
2013年に導入された「新規制基準」は、原発の安全対策を強化するための新しいルールです。しかし、この基準は主に発電所そのものを守るための「オンサイト」の対策が中心でした。
一方で、発電所周辺地域の防災対策も進められています。その大きな変化の一つが、防災対策の対象エリアを発電所から半径約30キロに拡大したことです。また、原子力災害が発生した場合には、窓や扉を閉め切り、建物内にとどまる「屋内退避」の重要性がこれまで以上に強調されるようになりました。
こうした方針に基づき、原発周辺では、屋内退避を想定した建物の防災機能の強化が進められています。例えば、非常用の発電設備の設置や、気密性を高めるための改修工事が行われています。その一環として、陽圧化も進められています。
陽圧化とは、屋内の安全性を高めるために、外部から取り込んだ空気を放射性物質を除去するフィルターに通した上で建物内に送り込み、内部の気圧を外よりも高くすることで、放射性物質が建物内に入り込むのを防ぐ仕組みです。
こうした対策は、原発周辺の病院や老人ホーム、体育館、大規模ホール、役場、避難所などで進められています。運用面の課題はありますが、災害時の安全確保を目的とした取り組みが強化されています。
●内部の気圧高め侵入防ぐ
https://www.minyu-net.com/news/detail/2025031512561334233 (2025年03月15日配信)
2013年に導入された「新規制基準」により、原子力発電所の安全対策が強化されるとともに、発電所周辺地域の防災対策も進められています。その中で、原子力災害が発生した際に住民が建物内にとどまる「屋内退避」の重要性がこれまで以上に強調されるようになりました。
屋内退避の効果を高めるため、発電所周辺では建物の防災機能を向上させる取り組みが進められています。その一つが「陽圧化」です。陽圧化とは、外部の空気を放射性物質を除去するフィルターに通して建物内に送り込み、内部の気圧を外よりも高く保つことで、放射性物質の侵入を防ぐ技術です。
これは、医療機関で感染症対策として用いられる「陰圧化」とは正反対の仕組みです。例えば、結核病棟では、患者が排出する結核菌が病棟の外へ拡散しないよう、室内の気圧を低くして空気の流れを内部に閉じ込めます。一方、発電所の周辺施設では、外部から放射性物質が施設内に入り込まないよう、内部の気圧を高めて環境を維持します。
どちらの技術も、安全性を確保するために適切な換気とフィルター技術を活用しています。また、エアロックと呼ばれる前室を設け、ドアの開閉時にも空気の流れを管理することで、外部と内部の空気が直接混ざらないよう工夫されています。陰圧化と陽圧化はいずれも人々の安全を守るために欠かせない技術です。