医療ガバナンス学会 (2012年6月26日 06:00)
この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
www.asahi.com/apital/
南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2012年6月26日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
体重計がこんな値を出すことは問題ですが、計測器ではこのようなことが日常茶飯事的に起こります。
ホールボディーカウンター(WBC)も、その例外ではありません。現在当院で検査している結果も、セシウムが検出される場合、検出された値の10~20%程度の誤差があります。
もちろん検出される値によって、このエラーバーの大きさは異なりますし、検出結果が低くなればなるほどエラーも大きくなります。検出限界以下の値を無理矢理器械に検出させる場合は、検出値の100%以上のエラーバーが付くこともあります。
検査の結果500Bqと520Bqだった方がいらっしゃって、なぜ私の値の方が高いのか?という話になることがあります。
500Bqと520Bqを比べて、520Bqの方が多いとは考えていません。500と5000は違いますが、500と520は同じなのです。通常の空間線 量計や食品計測器の例を出して説明するのですが、難渋します。他の検査ではあまり無いことなので、納得しづらいのはもっともだと思います。
当院のホールボディーカウンターの検出限界は、セシウム137で250Bq/bodyです。上記も踏まえてざっくりとは、セシウム137の値で、検出限界 以下、3桁前半、3桁後半、4桁以上ぐらいの感覚で値を見ています。大人だと4桁以上、子供だと3桁後半以上の値が出る場合、「相対的に」高めだと考え、 積極的にフォローさせていただいています。(明確な根拠が存在する訳ではありませんが、だいたい20Bq/kg以上の方は優先的に外来に来ていただいてい ます。)
子供で4桁以上が検出される方はほぼいません。以前体格のしっかりしている中学生で値が出ることはありました。3桁後半の値が検出される子供さんは、現在の南相馬市では(相対的に)高めな印象です。大人、特に高齢の男性で4桁以上(1000Bq/body以上)を検出する方は、現在でもたまにいらっしゃい ます。
以前もご紹介しましたが、相馬、南相馬どちらの値を見ても、検出するのは家族単位です。あるご家庭で高い値の子供さんがいるご家庭はご両親も高いです。ご両親が低いのに子供さんだけ値が高いという状況はほぼ無いです。高齢のご夫婦で、妻の値が相対的に高い場合、夫の値も高めです。
時間はかかりますが、ゆっくり問診すれば多くの場合、内部被ばくを生み出している食べ物の目星をつけることが出来ます。もちろん、体内セシウム量だけが健康リスクの全てではないので、セシウムの値単独が今後の生活スタイルの決定要因になる訳では全くありません。
当院にホールボディーカウンターが初めてやってきてから、そろそろ1年になります。
今日はこの辺で。
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