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Vol.189 内部被曝通信 福島・浜通りから~相馬野馬追に参加して考えた

医療ガバナンス学会 (2013年7月31日 06:00)


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この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2013年7月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

今年も7月27、28、29日と相馬野馬追が行われました。

国の重要無形民俗文化財で、千余年の伝統を持ちます。伝説では相馬市の祖といわれる関東の武将 平将門が、下総国に野馬を放ち、敵と見立ててこれを追い、兵士の訓練を行ったことに始まるそうです。初日の出陣式の後、中ノ郷、小高郷、標葉郷、北郷、宇 多郷のそれぞれの騎馬隊が原町の雲雀ヶ原を目指して行軍し、そこで甲冑競馬や神旗争奪戦などが行われます。最終日には野馬を神前に供える野馬懸が行われま す。

受け売りの知識ですが、馬は神様の大事な乗り物であると同時に、神様に対する重要な奉賽物です。生きた馬を調達して神前に備えることは容易ではないため、 生きた馬の変わりに絵を描いて奉納する「絵馬」がうまれたそうですが、野馬懸では昔からの伝統を守り、生きた馬を神様に献じています。

実は今回、光栄にもこの相馬野馬追に参加させていただく機会を頂きました。宇多郷騎馬隊、御神輿守護役(おみこしを守る役目)を拝命し、それに向けて乗馬練習をさせていただいていました。

2カ月ぐらい前から多くの騎馬武者達は早朝の乗馬訓練を行います。多くの騎馬同様、朝4時ごろに松川浦の浜に集合し、5時過ぎまで砂浜を駆け回ります。野 馬追の騎馬には、それぞれの役割があります。みこしを守る役、伝令、貝を吹いて号令をかける役、軍者、組頭、お使い番などなど、それぞれの方々が真剣に早 朝から練習されていました。練習は厳しくも、本当に野馬追という伝統行事への情熱と馬への愛にあふれた方々ばかりでした。

しかしながら、乗馬の経験が無い(運動全般できない)私は、短時間の練習ではうまく乗りこなすことが出来ず、甲冑を着ての乗馬は出来ないとの判断を頂き、騎馬での出場は断念し、全行程ではなく、一部行程を陣羽織姿で歩いて参加させていただきました。

今年も多くの方々が参加していらっしゃいました。4~5万人の観客、市民の方々、運営スタッフ、全国からいらっしゃった多くのボランティアスタッフなど、 多くの方々が勇壮な騎馬武者達の行軍に声援を送り、甲冑競馬や神旗争奪戦などを見守っていました。多くの方々がその迫力に圧倒されたのではないかと思いま す。

特に今回、放射線の話をするつもりは余りありません。私たちは祖先から代々続く伝統と、多くの人のつながりとご縁の中で生き、生かされています。伝統ある 野馬追に参加し、痛切に感じます。放射線の話はとにかく数字、リスク、xx率といった科学からの帰結ばかり。どこか相容れません。

現代の医学でも数字に出来ない話はごまんとあります。このブログでもいつも数字の話ばかりしていますが、ただ科学を信用しろと言っているようでそれでいい のかよくわからなくなります。結局、冷静になったときに感覚で感じることが、色々な情報を統合した自分にとって一番正しい判断なのかもしれないと思うこと もあります。ただ今の自分にできることはそんな科学的な値を提供することだけですし、それを続けることが必要です。

この伝統に参加させていただいくことができ、本当に光栄でした。本当に多くの方々に助けていただきました。色々とご迷惑をおかけしたにもかかわらず、騎馬 会のみなさまには本当に良くしていただきました。この伝統が変わること無く今後もしっかり受け継がれて行って欲しい。と感じました。

野馬追関連でいろいろと仕事をさぼっていたので、また病院の仕事に戻ります。今日はこの辺で。

写真:お上がりの際、練習は本当に厳しい持舘騎馬会長が、「(馬が動き回って疲れた)今なら、(私でも制動が効くし、暴れず)乗れると思う。乗りたい か?」とおっしゃってくださいました。阿部組頭も助けてくださり、無事行軍することができました。多くのスタッフの皆さんに心から感謝とお礼を言いたいと 思います。
写真は御神輿の出発前。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013072900008.html

 

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