医療ガバナンス学会 (2014年7月4日 06:00)
*****************************************************************************
メッシュでみた線量の変化
この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html
南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2014年7月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
平成23年6月は市内を1キロメートル四方で区分して測定し、平成24、25、26年度は500m四方で区分し測定しています。地上1mの高さで、日立アロカメディカルのTCS-172Bを使用し、5回計測した値の平均値を採用しています。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014063000020.html
上記はメッシュ内の、建物などと隣接していない場所でのアスファルト面上での測定結果(いずれも相馬市提供)です。23年当初に市のスタッフと急いで測定して回って地図を作製した際の色分けのままなのですが、青色が3種類あり、一番濃い青色が、0.1μSv/h以下、真ん中の青が0.2μSv/h以下、一番薄い青が0.5μSv/h以下、つまり濃い青ほど線量は低めです。緑色は青色より高めであることを示しています。
航空機モニタリングからも同様の結果が得られていますが、線量は徐々に下がってきています。
平成26年度では、相馬市内の多くの地域が真ん中の青色以下(0.2μSv/h以下)になっていることが分かります。セシウム134の半減期が2年、137の半減期が約30年ですので、平成23年度の結果に比べて平成26年度では物理学的半減期から約4割低減するかと思われますが、雨などで流れるいわゆるウェザリングの影響でそれよりも速いペース(約5割〜6割)で低減しています。
事故前から存在する環境放射線量に近づいており、下がる速度は徐々に遅くなっていますが、大まかには西日本と線量の変わらない場所が大部分になったと言ってよいと思います。実際に2013年のガラスバッジの測定結果では、小児の99%が年間追加被ばく線量1mSvのラインを下回っています。
もちろん、メッシュの測定値が必ずその地域の線量を代表しているわけではなく、いくつかのホットスポットがあることが知られています。山側の地域では比較的空間線量の高めの地区もあり、そこでは更に細かく10mごとにローラー作戦のように線量を測り、除染に役立てています。
外部被曝のトータル量は、ホットスポットの横を一瞬通過するだけではほとんど変わらず、長時間生活する場所(学校や寝室など)での線量に左右されます。そのような場所を重点的に計測したり、もし比較的高い値の方がいらっしゃった場合、希望される方には単位時間あたりの測定値を示すことのできる積算線量計を使用してもらったりしながら、少しずつ進めています。全体として下がってきていることは喜ばしいことですが、継続して検査を続けていかねばなりません。
坪倉正治の「内部被曝通信 福島・浜通りから」のバックナンバーがそろっています。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html
「アピタル」には、医療を考えるさまざまな題材が詰まっています。
http://apital.asahi.com/