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Vol.167 なぜ南相馬市で後期研修をすることにしたのか ~後期研修医を集める方策とは

医療ガバナンス学会 (2014年7月31日 06:00)


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南相馬市立総合病院脳神経外科後期研修医
嶋田 裕記
2014年7月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


今年の2月頃に脳神経外科の後期研修先を探していたところ南相馬市立総合病院の及川友好医師を紹介していただき、平成26年5月から南相馬市立総合病院脳神経外科で働かせて頂いています。この話をすると私が被災地支援を考えて就職したと考え、感心される方もいらっしゃるのですが、当院で研修しようと考えたのは、決して被災地支援ではないことを強調させていただきたい。第一にまだ専門性も身につけていないものが、医療で被災地支援などできるはずもない。開頭手術、血管内手術合わせて年間180件近く行われている症例数の多さ、及川医師の専門性の高さがあり、純粋に当院で研修を行うことが私の脳神経外科のキャリアにおいてメリットがあると考えたから、後期研修を行うことを決めたのだ。

その経験から考えると症例を集約化して、専門研修として一定の症例数に関わることの出来る環境を作らないと3年目以降の医師を集めることはできない。例えば脳卒中に関して相双地区では当院脳神経外科に症例が集約化されている。後期研修医は私一人であるため、ほぼ全ての手術症例に関わらせていただいている。都市圏だと手術症例数で当院よりも多いところはあるが、一人あたりの症例数でここまで多いところはなかなかないだろう。

また、専門医の取得に必要な特殊な症例(脊椎手術、小児脳神経外科など)や血管内手術も福島県立医科大学付属病院やその他病院で勉強することができるのも当院で研修を決めた要因の一つである。

加えて、当院で研修することにはメリットには地域医療という側面もある。仮設住宅訪問など地域の方々の健康向上に関わらせて頂いている。メタボリック・シンドロームやロコモティブ・シンドロームなどの生活習慣病に対して積極的に介入していこうとする試みである。通常の特定健診と違い、仮設住宅入居者の生活に入り込むことができるため、私は関わり初めたばかりだが、大きな成果がでそうな実感がある。このような地域医療の側面があることに全く南相馬に来る前は気づくことができなかった。

表題の後期研修を集める方策について述べる。今南相馬市では脳卒中センターを作ろうとしているが、その他の医師不足に悩む地域でも一つの科、限定された疾患に集中して周囲の地域からも患者を集めるような施設を作る必要があるのではないかと思う。そういう環境がないと前述の通り数多くの症例に携わりたい後期研修医や医師を集めることができない。ただし、それだけでは不十分である。そういう環境と合わせて、いわきの病院の先生とのご縁や地域医療への興味があって、初めて研修に来ようと思うのではないだろうか。

私も丁度母校医局での後期研修を医師3年目時点で開始することに疑問を感じており、第2、第3の道を探していたところに及川医師のことを紹介していただき、これもご縁だと考え両親の反対を押し切り就職させていただきました。縁がなければ、南相馬市に来ることを考えたこともなかっただろうし、一方きちんとした専門研修ができなければ、お断りしたと思います。これが以前の医局でしたら(通常の会社でも同様だと思いますが)、医局人事で縁とかそういうことがなく~病院に行ってきてくれと派遣され定期的に医師が来るシステムだったのだから、医師を集めにくくなったのは事実なのでしょう。

だから結局は後期研修医を集めるには他と決して見劣りしない研修ができる施設をなんとかして作り、いろいろなツテを使って初期研修医を紹介してもらって、あとは運を天に任せるしかないのではないでしょうか(私が南相馬で研修しているのも偶然が重なった結果であるので)。
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『いわきの医療・まちづくり 公開シンポジウム』
平成26年8月9日・10日 いわき市文化センター大ホールにて開催 ※参加費無料

「地域の医療」「いわきのまちづくり」をテーマに掲げ、医療やまちづくりの情報や問題点、解決案を市民と共有するシンポジウムです。

http://expres.umin.jp/mric/img/20140809iwakisympo.pdf

【略歴】
嶋田 裕記
2012年3月東京大学医学部医学科卒業、2012年4月より名戸ケ谷病院にて初期研修。
2014年5月より南相馬市立総合病院脳神経外科後期研修中。

 

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