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Vol.189 成功した「武雄市民病院」の民間移譲

医療ガバナンス学会 (2014年8月28日 06:00)


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成功した「武雄市民病院」の民間移譲
武雄市長 樋渡啓祐

2014年8月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

武雄市立武雄市民病院は、平成22年2月1日民間法人へ移譲し、新武雄病院としてスタートしました。平成23年6月には交通の利便性に優れた国道沿いに移転新築され、地域の基幹的医療施設として、24時間365日の救急体制を提供しています。
平成12年2月1日、国から移譲を受け武雄市立武雄市民病院は誕生しました。市内唯一の救急医療機関として、市民の期待を背負ってのスタートでしたが、赤字補てんの補助金を国から交付されながらも厳しい経営を続けていました。私が就任した平成18年度末の累積赤字は6億円を超え、早めの手当てが必要と思われる経営状況にあったのです。さらに、新臨床研修制度の実施による医師不足の状況が発生していたのです。慢性的な赤字体質と医師不足は、信頼される医療を施すという医療機関本来の使命を果たせないことにつながる憂慮すべき事態でした。

今ならまだ間に合う。医療を存続させ、市民の命と健康を守る医療体制を整えるには民の力を借りるしかない。私は民間移譲を選択しました。反発は想定を超えていました。医師会は早速反発。検診など市への協力を見直すと表明しました。病院現場では医師が反発。一斉に辞意を表明し、救急医療さえ休止せざるをえなくなりました。医師数がピーク時の18名から5名にまで減ってしまったのです。
民間移譲を巡っては、移譲に関する議案、予算、条例などが市議会で議論されました。市民病院の民間移譲反対派と賛成派はそれまでの反市長派、市長派の色を塗り替えました。反市長派が分裂し市長派になる、自民党の一部議員が共産党などと組んで、市長リコール運動に参加するなど、民間移譲反対の動きは、“想定外”の組み合わせでうねりを増していきました。

反対派は、共産党、自民党の一部、医師会などを中心に構成され、民間移譲されれば医療費が上がる、気軽に入院できなくなるなど、根拠のない主張を刷ったビラをまいていました。加えて私のリコール運動を展開。リコールが現実のものとなりつつあった平成20年11月、私は悩んだ末に辞職を決意、武雄市民病院の民間移譲を争点として市長選挙に打って出たのです。
対立候補は医師会が全面協力。民間移譲反対と主張すれども、民間移譲のどこに問題があるのかを明らかにできず、ひたすら市民病院を守りますと連呼するばかりでした。

民間移譲賛成の声は、目に見える組織活動としては表れませんでしたが、充実した医療機関を期待する市民の声は寄せられていました。
私は、出直し市長選挙で24時間365日の医療を実現したい、市民病院の民間移譲は真に市民医療の向上にほかならないと訴えました。
移譲後、市は武雄市民病院移譲先評価委員会を設置。評価委員会には医師会の医師も加わり、きわめて客観的な評価がなされています。医療サービスに関する事項など28項目を評価し、結果は公表。官民一体となって医療環境の充実に努めています。
民間移譲は、雇用と税収にも効果を表しました。移譲後の病院職員数は100名余りから関連職員を含め500名ほどに増加、税収0円、精算時15億円の赤字を抱えた武雄市民病院は、毎年8500万円の税収を市にもたらす民間病院に変わりました。
医療面では、たらいまわしがなくなり救急車の受入れ2.4倍、紹介率1.3倍という、真に市民の命を救う病院が誕生したのです。
【略歴】
平成5年東京大学経済学部卒業。同年総務庁(現総務省)入庁
平成18年武雄市長(1期目)
平成22年武雄市長(2期目)
平成26年武雄市長(3期目)
著作 沸騰!図書館(角川書店)
首長パンチ(講談社)など

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