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vol 23月間スズカン通信 「厚生労働省への一任を見直しましょう。」

医療ガバナンス学会 (2007年12月10日 14:24)


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鈴木寛(通称すずかん)

ロハスメディカルのコラムにおいて医療材料や医療機器の現状、内外価格差について触れました。それをご覧になった方々より、いくつかご意見をいただきました。

簡単に紹介すると、輸入材料や機器が高くなるのは国内流通にコストがかかるからとのことでした。

とりわけ私が着目したのは、厚生労働行政に対応するコストです。

まず、機器の承認審査が海外に比べて遅いことがあげられます。一説によると、アメリカが12ヵ月であるのに対して、日本は平均20ヵ月以上で4年を超えるものもあるとか。

さらに承認後に保険収載されるまで8~12ヵ月かかります。医薬品が原則的に60日以内であることからも非常に遅いことがわかります。

なぜ、こんなことになるのか。ひとつは審査体制の問題があります。各国に比べて要求水準は高いにもかかわらず、審査官の数は少なく、しかも薬学の専門家を中心に構成されており、工学の専門家はとても少ないのが実態です。

しかも1度承認を得ても頻繁に規制変更が行われ、そのたびにコストがかかります。

ただ、厚生労働省の言い分にも一理はあります。日本では何か事故が起きたら、役所が責任を問われます。

役所は100%の安全性を求められるため、当然、慎重になります。このことによって、欧米より先進医療機器の導入が遅れ、助かる命が失われる可能性があります。逆に、機器故障によって失われる命も、未然に救われているでしょう。

医療にリスクはつきものです。リスクとリターンのバランスを最終的に決定するのは、患者とその家族ではないでしょうか。もちろん専門家が個人の判断を支えるための仕組みは作らなくてはなりませんけれども、役所に任せれば画一的なものになり、よりリターンを求める方にも、リスクを避けたい方にも不満が残ることになります。

医療技術の恩恵をもっとも効果的に得るために、社会全体でリスクや負担を誰がどのように分担していくのか、もっと国民レベルで議論することが必要です。ご意見お待ちしております。

この記事はロハス・メディカル12月号に掲載されています。

著者紹介
鈴木寛(通称すずかん)
現場からの医療改革推進協議会事務総長、

中央大学公共政策研究科客員教授、参議院議員
1964年生まれ。慶應義塾大学SFC環境情報学部助教授などを経て、現職。
教育や医療など社会サービスに関する公共政策の構築がライフワーク。

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