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Vol.001 MRIC 2016年新年にあたり

医療ガバナンス学会 (2016年1月1日 06:00)


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上昌広

2016年1月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


明けましておめでとうございます。

2016年を迎え、皆様はいかがお過ごしでしょうか。2004年に始まったMRICは、今年で12年目を迎えます。ここまで、このメールメディアが続いたのは、読者および寄稿者の皆様のお陰です。編集部を代表し、心より御礼を申し上げます。

さて、今年はどんな年になるでしょうか。私は我が国の医療にとって、大きな節目になる年と考えています。

まず、今年は東日本大震災からは5年目を迎えます。5月には福島県相馬市で相馬地方市町村会とWHOが共催してシンポジウムが開催されます。震災から現在に至るまでの様々な経験が研究成果として、発表されるでしょう。

夏には参議院選挙が予定されています。医療を発展させながら、増大する社会保障費とどう折り合いをつけていくか、国民全体で議論されることを期待しています。

昨年、免役チェックポイント阻害剤である「オプジーボ」が承認され、肺がんなど固形癌への応用が進んでいます。これまでの抗がん剤と異なり、この薬剤は高い効果が見込めます。ただ、薬剤費は年間三千万円以上と高額です。全てを保険償還すれば、早晩、国民皆保険は破綻するでしょう。

我々は、有効な薬剤は全て健康保険で利用できるという時代から、保険で償還する治療に優先順位をつけることが求められそうです。これは、一部の患者には有効だが、保険償還できない薬剤が出てくることを意味しています。混合診療の議論が避けられなくなります。社会全体で「大人の議論」が求められます。

医師不足は解決の目途がたっていません。仙台、成田についで医学部を新設するのか、それとも医療業界の要望に応え、医師の養成数を減らすのか、これも今年、大きな決断を迫られそうです。

海外に視点を移せば、グローバル化が加速しそうです。昨年のエボラ感染症のような問題は、今後も繰り返すでしょう。今年は伊勢志摩サミットも予定されています。グローバルヘルスが主要な課題に掲げられています。この分野についても、世界各地で研究が進むでしょう。

我が国の医療は、これ以外にも様々な問題を抱えています。MRICでは、このような問題に対して、現場からの発信をお待ちしています。マスコミや業界誌では報じられない現場のリアリティーを社会に発信する場になればと希望しています。医師、研究者、患者、一般人、立場は問いません。今年も多数、御寄稿頂ければ幸いです。本年も宜しくお願い申し上げます。

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