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Vol.124 [ 新専門医制度 ] 1つの私立大学しか県内にない県の主張

医療ガバナンス学会 (2017年6月12日 06:00)


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岩手県立磐井病院 副院長
佐藤耕一郎

2017年6月12日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

当県は、2010年厚労省が行った必要医師数実態調査で全国一医師が足りない県とされております。2016年厚労省の医師・歯科医師・薬剤師調査によれば、10万人あたりの医師数は全国41位で面積が北海道に次いで2位のため、2012年のWEST論文研究発表会の資料によると可住面積当たりの医師数が下から2位です。いずれにしても医師数の足りない県であります。

広い県の医療をカバーするために『県下にあまねく良質な医療の均霑を』を基本理念に20の県立病院と5つの附属診療センターを設置し、県全体の救急車の年間約7割を受け入れております。県立病院医師総数は、近年変わっておりませんが、専門医制度施行予定の発表から後期研修医数が減少しており、それを現在27名の65歳以上の定年延長の医師で支えていただいております。

この県立病院に勤務する医師達は、地元の私大か近県にある国立大の医局に属するか、地元であるなどの理由で大学の医局に属さず直接県立病院に就職した医師の大きく3種類から成り立っております

今回の専門医制度では基幹病院になれる条件が厳しく、大学でしかなれないような条件を出している科が多数あり、そのため当県のように私立大学が一つしかない県では、その大学病院のみしか基幹病院になれないということが起こっております。

このまま専門医制度が始まれば、各県の大学主体の専攻医配置になると思われますが、その中心となる大学は、県全体のことを考えての配置でなく、大学の優位性を考えた配置となることが予想されるため、配置のなかった病院は、医師の高齢化により辞職が進み、さらなる地方医療の崩壊が進むと考えられます。

この制度の一番の問題点は、ほとんどの各県の専攻医配置の主導が大学にあり、その大学が関連病院でなければ専攻医を配置ができないことと、大学の優位性を保つための配置になることが予想され、医科大学、特に1つの私立の医科大学しかない県では、すべての病院がその大学の関連病院でとは限らないため、専攻医の配置は県全体のことを考えた配置とならないということです。それにより、瀕死の状態の地方病院の息の根を止め、地方病院の崩壊がさらに加速することが容易に予想されるため、この制度施行に反対いたします。

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