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Vol.067 第二のふるさと淡路島~異文化で看護師になる~

医療ガバナンス学会 (2020年4月6日 06:00)


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近藤優実

2020年4月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

3年前、大学を卒業し、単身淡路島に移住した。看護師として社会人をスタートするためだ。もともと、横浜で育ち関西に知り合いもいなかった。そんな私が淡路島で働くことは、想像した以上に淡路島の人に興味をもたれた。

「なして、淡路に来たの?」これは、他人を拒むのではなく、興味をもち受け入れてくれるサインであった。私は阪神淡路大震災の日に生まれた。この日から色んな助け合いがあり、その中で命を守りにいった医療者に私もなりたいと思い看護師を選んだ。そのルーツとなった土地の今を知りたく淡路島で働くことを決めた。

結果として、本当に良かった。淡路島の人の面白さと優しさで3年間成長することができた。

1年目は、言葉の壁を感じた。淡路弁の意味が分からず何度も聞き直した。最初に言われて戸惑ったのが「えらい」だ。「横浜から来てえらいな」と何度も言われた。内心そんなに偉いことをしている訳ではないのにと思いながら会話した。しかしこれは「偉い」ではなく、「大変」という意味で話されていた。新人で先輩看護師をよく「よわらせていた」。これは、特に攻撃をして「弱らせていた」のではなく、どのように教えようか考える先輩を「困らせていた」のである。このように、新人で新しいことを学ぶ場所での言葉の壁は、教える側も教わる側にも大きかった。

2年目は、仕事に少しずつ慣れてきて、島の友達ができ、充実した。島祭りで阿波踊りのような踊りに参加することや地域のイベントにボランティアとして参加した。そんな中、9月に台風が続けて2つきた。この影響で大好きな海岸がゴミだらけになってしまった。ショックのあまり、ビーチクリーンを企画、運営、実行した。1年半でできた12人の友達と共に100枚のチラシとfacebookで呼びかけをし、総勢79名で167袋のゴミを回収し、綺麗な海岸を取り戻すことができた。

3年目は、手術室から病棟へ移動するといった仕事面で大きな変化があった。そこで再度言葉の違いに苦労した。患者の訴えが分からない。「上げそう」は「吐きそう」。「べっちゃない」は「大丈夫」。私は、循環器病棟に所属していたため、胸部症状の確認は細心の注意を払っていた。そこで「胸が重たい感じすんねん」、「胸が苦しい」などの訴えはすぐに対応する。そこで紛らわしいのは「胸が悪い」。これは「吐き気がする」の意味である。「胸が悪い」と言われ、胸が悪いからしんどいのだろうが、どんな風に悪いか聞いても「せやから悪いんやって。看護師さん淡路の人じゃないだ。まぁ、遠くから来てえらいな」と話が変わってしまう。先輩に相談して、対応した。自分が育った地域と異なる場所で暮らす人の生活を想像することも難しかった。そのため、先入観を捨て些細なことも確認しながら、その人にあった看護について考えた。また、淡路島のことを深く知る機会にもなった。

私が育った環境では、学歴がとても重要視されているような気がする。しかし、淡路島では違った。どれだけ面白いかが重要である。古事記に日本で最初に生まれた地として登場する淡路島、重要無形民族文化財である「淡路人形浄瑠璃」や「だんじり」があり文化レベルが高く、豊富な食材にも囲まれている淡路島。ここでどうしたら自分らしくあれるかを追求しているように感じる。そして、自分の得意とする点で助け合う人情に触れることができた。

4月から大好きな淡路島を出て助産師になるために再び学びの場に行く。新型コロナウイルスの影響で、自己学習が求められている。とても不安だ。しかし、一人で行った淡路島で想像以上の幸せを感じることができた。これから、愛着形成について助産師として深く学んでいきたいと考えている。今の状況でしかできない学びがきっとある。それを淡路島で実感してきた。この状況でどう自分らしくあり、助け合える行動ができるか淡路の人のように考えて行動していきたい。

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