医療ガバナンス学会 (2020年4月8日 06:00)
他の病院勤務医と同様に当院の医師も他の民間病院に勤務している。先日ある医師が他の病院での非常勤勤務を断られてしまった。さらにコロナと関係ない一般の患者を後方施設に依頼してもコロナを診ている医療機関からと断られる事例も出てきた。またコロナを診ている医療機関には行きたくないと患者に拒否される。
新型コロナ感染症を診療している医療機関は海外では英雄視されているが日本では蔑視されている。これらの風評被害に加え、長期処方患者の増加もあり実患者数が減少しており、民間病院は中小企業同様に危機的な経営状態に陥っている。
その中で東京都知事や一部感染症専門家は民間医療機関でのコロナ感染症用ベット確保と話された。東京都の感染症指定病院や都立病院群は全力で対応している。病床の転換も早急に行いつつ、重症患者に対応している。しかし次に来るのが民間病院と言う論理は理解しがたい。俗に言う第三セクター病院群(地域医療機能推進機構、地域医療振興協会等)は今まで豊富な税金を使用して設備投資を行い、民間病院と争うように患者集めを行ってきた。国難と言えるこの時に、多額の税金を使用してきたこれらの病院群がなぜ襟を正して病床転換を行い、コロナ感染症と向き合わないのか理解に苦しむ。
自らの診療機能を落とすことで地域医療に多大な損害をもたらすと思うならそれは違う。民間病院群にも公的病院相当の機能を持つ病院群があることは、昨年末からの厚生労働省発表でも明らかである。今こそ国を上げてのコロナ感染症対策が求められており、襟を正した公的医療機関の病床転換を求めたい。我々民間病院も全力で協力していく。争いでは無く協力で国難を乗り切ろう。