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Vol.120 コロナに負けず、二兎を追うべき

医療ガバナンス学会 (2020年6月9日 06:00)


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伊沢二郎

2020年6月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

コロナに関して新しい研究報告が出てきている、アメリカによる発症2~3日前の感染力が強いこと、台湾による発症6日前後で感染力が無くなること、ドイツからも同様の報告がある、韓国からは再陽性者には感染力が無いこと等、何れも然るべき機関、然るべき人の報告だから朗報だ。
翻り今の日本の在り様をみるに、国立感染症研究所や政府専門家会議の新型コロナ関連の指針なり指標、やっていることが、これら新しい研究報告と合致しているのか甚だ疑問だ。新たに作成された診療の手引きにしても海外発のこれら研究成果が考慮されているように見えない。全てを取り入れるべきと言ってるのではないが、PCR検査に基ずくエビデンスの確かさは日本より優っているだろう、積極的に参考にすべきだ。PCR検査受診までの四日縛りは緩和されたが、感染能力がある発症前の感染者を洗い出す方策は示されていない。これが一番重要かと思うが。

コロナ問題以前にこれ程経済のことを考えた事はない、リーマンショック以上と言われ始めているので後年、戦後最大の事態と云うことになるのでしょうが、今正に私達は歴史的局面に居るわけです。だが、其れにしては保健衛生を担う方々の危機意識を疑いたくなる事ばかりだ。最近になって漸く専門家会議にも経済の専門家を入れる必要性がある旨の談話が有ったが、其だけで良いのか。このメンバーに最も足りないのは臨床医だ、クラスター対策が行き詰まり医療現場に課題が移った時、臨床医の意見が活かされていれば、問題・課題・成すべき対策がもっと早くに顕在化しとっくに対策されていただろう。人の行動と市中感染の関係を予見するなら、以前本メルマガでも取り上げられたが、AIの専門家の意見も活かすべきだ。一波は終息するやに見えるが、必ずやって来る更に大きくなるやも知れない2波3波を、この閉鎖的な組織で乗り越えられるのか、甚だ心配だ。

「二兎を追う者は・・・」は失敗例だがここまで経済的犠牲が大きいと、そんなことを言ってられない状況であること、多くの人が思っているでしょう。
払った犠牲は取り返しが効かないが、今後やって来る2波3波の際は、二兎を追って二兎を得ることが、大変難しい課題でしょうが必須うです。これをこなすにしては今の専門家会議の在り様は脆弱過ぎるのでないか、もっと多角的視点に基ずいた意見を活かすべくメンバー構成にすることが、一番始めにやることではないのか。
今の状況は、人の動きによる経済学を身をもって勉強している想いです。人の行動が如何に経済と密着していることか、思いもよらぬ程の事態です。その点今やっている行動自粛は、感染者なら未だしも、経済に貢献しうる健常者を隔離しているに等しいことをやっているとしか思えない、健常者を隔離して何になる。二兎追うにはこの方々に大いに働いて頂くことだ。

インフルエンザと新型コロナ、我々は明らかに後者を恐れる、前者には薬もワクチンも有るが毎年一万人が死亡していると云うのに。だけどパンデミックは起きていない、毎年のことで馴れているからか、感染病が終息すると云うことは馴れると云うことか。よく分からないが前者は自覚症状が即座に現れる見える敵で、熱が下がって五日間の自宅待機の約束事が守られている。この社会通念が余計な恐怖感を生まず、健常者の経済活動を阻害しないのだろうか。だとしたら潜伏期から感染能力を持つ見えない敵の新型コロナでは、インフルエンザ以上に健常者の経済活動を担保すべく「コロナ感染者は隔離されている」との社会通念を形成することが肝要なのでは。今の行動自粛は長く続けられるようなことではない、2波3波を抑制し普通の経済活動を維持する為にやるべきことは、希望者含めPCR検査や抗原検査を徹底してやることだ。

(5月20日受)

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