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Vol.250 大阪・北海道、自衛隊出動の事態を招いた責任は誰にある

医療ガバナンス学会 (2020年12月15日 06:00)


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伊沢二郎

2020年12月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

「命あっての物種」、いざとなったら経済とどちらを選ぶか。こんな分かりきった事に時間を費やして貰いたくないが医療崩壊を起こしている今なお、GO TOトラベル問題無しの根拠に成り得ないデータを掲げて、その経済効果を言っている。
その中一昨日(12/7)、東京大学研究チームによるGO TOトラベル利用者に於ける有症者数は、そうでないグループの2倍との調査結果報道があった。
数値の隔たりはともかく、多くの方が想像してた通りの結果ではないでしょうか。これはGO TOトラベルが全国へのコロナ感染拡大要因である事を証明しているのではないのか。

話は少し逸れますが。ことある度に政府は経済、経済と繰り返し言うがコロナ抑制対策の結果、縦しんば経済が10年前のレベルまでバックしたとしても、団塊世代の我々は一向に構わない。寧ろ、身の回りに物が有り余る社会に在ってその反動なのか、アニメを否定する訳ではないが、若者がバーチャルに浸る世相が気になる、その先にどのような社会が待つのか心許ない処である。一方コロナ禍を機に本来の生活とは、を見つめ直したいのか、地方や山里に移住する若者も増えている、との報道に一脈の光を感じる思いです。

経済は何れ元に戻る、その為の方法もあるだろう。結果責任を問われ、政権が倒れるかも知れないがその次が出来る、もっとましな政権かも知れない。しかし世の中では、安倍政権から続く女性活躍社会のお題目倒れが、コロナ禍も相俟って多くの自死を招いている。生活に困窮したあげく、こんなに悲しい結末を自ら選ぶ。先進国日本に、在ってはならないことだ。
コロナの終息には未だ時間が要る、今直ちにやるべきは命のセーフティーネットの強化ではないのか。

だから経済だ、と云う声が聞こえて来るようだが上先生曰く、日本が投じた財政の費用対効果は乏しいようだ。7-9月期のGDP下げ幅は、コロナがあれ程猛威を振るったスペインやイギリスより更に下回ると云う。同じく上先生によれば、アメリカの非営利シンクタンク「INET」の報告は、コロナの拡散をコントロールすべく、いち早く抑制対策に投資した、中国・台湾・ニュージーランド・アイスランド・シンガポール・ベトナム・タイ、等はコロナ拡散を効率良く抑え込み、経済は回復基調に在ると云う。ことある度に900万人の観光関連従事者を何とかしなければならないと言うが、コロナ拡大抑制対策の副作用の厳しさは、どの国も同じだろう。日本だけが特別等と言う理屈は成り立たない。
コロナ感染拡大抑制が、いの一番にすべき経済対策で在る事を世界が示している、世界の常識だ。

新型コロナ分科会・尾身茂会長はGO TOキャンペーン当初からトラベル自体は問題無しと言ってきたが、東京大学の研究結果を何と考える、出来るものなら説明して欲しい。云うまでもなく旅行は、移動・飲食・歓談・etc.、行動全てが旅行の内だが所詮把握しきれない個人に係わる事柄だ、善くぞトラベルは問題無しと言ったものだ。このコロナ禍、緊張感が全くない一般論を聴く気は毛頭ない。
余りに無責任極まりない発言に憤懣やり方なく、本ガバナンス学会の品位を傷つける言葉遣いになる様で失礼しますが「くその役にも立たないに止まらず、感染拡大のお先棒を担いだ」と言いたい。一重に感染データを独占しているにも拘わらず、先行きは「神のみぞ知る」等とコロナ禍に在って不謹慎極まりない事を何時も言ってるらしいが、これは人事を尽くした人のみだけが遣える、万策尽きた時の言葉だ。

我々は「神のみぞ知る」等と言ってられないので、最大限の注意は欠かせない。旅先での感染対策も個人の責任に於いて何とかするが、不特的多数とディスタンス無しで否応なしに業務に当たる医療施設や高齢者施設に従事する方々はそうはいかない。これら施設でのクラスター発生は以前から心配されていた事だが、昨日(12/8)大阪と北海道で自衛隊が出動する事態に至ってしまった。

無症状者へのPCR検査をしなければ、このような事態を招くことは容易に考えられたことで、当然の結末だ。上先生は一波当初からエッセンシャルワーカーへの公費での定期的PCR検査をすべし、と訴えていた。この期に及んでも何も手を打たない厚労省に業を煮やしたのでしょう、ナビダスクリニック理事長:久住先生は先般、BSフジテレビ番組内で「エッセンシャルワーカーへの検査」を訴えていた。何故こんなに、あっ当り前のことを厚労省はやろうとしない。何故、医療に携わる医師にこんな事まで言わせる、言わなければならないのだ。
これが国民の健康を一番に考えるべき厚生行政のやることか、恐ろしい程レベルの低い在り様だ。

こんな事態を招いたのは、7月に無症状者へのPCR検査をしないと決めた、厚労省医系技官・コロナ分科会・感染研の責任だ。大間違いである方針、の反面的エビデンスは和歌山県済生会有田病院・北九州市・世田谷モデル、の成功例や近くは墨田区保健所のコロナ抑制対策等の例だ。
共通点は従来に捕らわれず、新しい試みを果敢にやる・集中的に多くのPCR検査等をやる、そして何れも医系技官・分科会・感染研(この人達に敬意は持てないので、以下あんた達と言う)が策定した方針に背く形で感染抑制に効果を上げていることだ。

もうとっくに、あんた達のやり方は破綻している、我々は巻き添えを食わないよう注意するのみだ。この人達の感染症専門家としてのレベルが奈辺に在るか知るよしもないが、世界の常識とかけ離れていることだけは間違いないようだ。
政府に物申す機関として、独立性を保つことの重要性は歴史が証明している。我々に三密を避けるよう言うなら、その前に政府との間にディスタンスを取ったらどうだ。
自衛隊まで出動する今の感染状況は、未曾有の災害を招いた責めを負い糾弾され、今は無き経産省原子力ムラと大災害の構図を彷彿とさせるが、これ以上酷い事にならぬよう神に祈るのみだ。

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