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Vol. 213 減額査定された保険診療は、自由診療が混じるが混合診療ではない?

医療ガバナンス学会 (2010年6月18日 07:00)


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江原朗 小児科医
2010年6月18日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

減額査定された診療行為の混じる保険診療が混合診療にあたるかどうかについて、前回のMRICで議論させていただきましたが、現時点の公式解釈が開示請求と国会議事録から明らかになりましたのでお知らせします。

健康保険による保険診療と保険外の診療を同時に行うことは混合診療と呼ばれ、原則的には禁止されています。保険外診療にもかかわらず、保険診療との併用が認められるのは、高度先進医療および選定療養(差額ベッドや予約診療など)に限られ、その実施には厚生局への報告を要します。

しかし、保険診療では、保険適用の検査や治療において、実施回数が多いことなどにより診療報酬の減額査定を受けることがあります。この場合には、実施した診療に対する保険者からの支払額が減らされます。したがって、査定により減額された医療行為においては、診療報酬の支払いがあった部分となかった部分が共存します。これが、混合診療とみなされるかどうか確認しました。

まず、厚生労働省に「保険診療において減額査定された部分の健康保険法上の取扱いに関する通達や事務連絡(減額された部分は保険診療とはなりませんが、保険診療部分と減額査定された部分が一連の医療行為で混在すると思いますが、これが混合診療となるのか否かがわかる文書)」の開示請求を行いました。結果は、こうした文書がないとのことで不開示決定が下されました。
http://pediatrics.news.coocan.jp/gengaku.pdf

しかし、厚生労働省の担当官の方は、この点に関する衆議院厚生労働委員会の議事録の所在を親切にもお教えくださいました。これまで、厚生労働省、文部科学省、法務省に情報公開請求をしましたが、もっとも懇切丁寧に対応してくださったのは厚生労働省でした。厚生労働省批判の多い昨今ですが、この点は感謝したいと思います。
第154回衆議院厚生労働委員会、平成14年06月12日
○加藤委員
それでは、最後の時間を次の議論に移りたいと思いますが、今のような場合、例えば医療機関が保険請求をしてチェックをしたら保険の対象外となったということがあり得ると思うのですが、これは先週もちょっと伺ったところ、政務官から、この全額を返還しろということになると、これを厚生労働省がシステムの中で決めるのは難しい、何で難しいかというと、これは最後は民事の話だから、こういう話でありました。
つまり、保険請求されて、その保険の適用になりませんよと言われた部分はあくまでも民事の扱いだということでよろしいですか。ちょっと確認をさせてください。
○田村大臣政務官
はい、たしか、不当利得返還請求というようなお話をさせていただいたと思います。
○加藤委員
そうすると、民事の問題ということになると、医療の世界でそれは自由診療ということになりますよね。一言、確認をさせてください。
○田村大臣政務官
自由診療という言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、保険の範囲といいますか、保険からは払われていない。保険からは払われていないという話でございます。
○加藤委員
保険から払われない診療を自由診療と言うんじゃないですか。確認させてください。一言だけ。
○田村大臣政務官
そういう意味では自由診療という話だと思います。

○加藤委員
今の話ですと、保険請求をして、一部ここは保険にふさわしくないと除外された。そうすると、ある部分、一連の診療行為の中で、ある部分は保険適用で保険診療、でもここは違うよと言われたところは自由診療、こういうことになるんですが、これはいわゆる混合診療に当たるんじゃないかと思うんですけれども、田村さん、どうお考えですか。
○田村大臣政務官
私も当初、そんな疑いがあるんじゃないかと思ったこともあるんですが、多分これは混合診療の定義の問題だと思うんです。
基本的に、この場合、保険の適用はされているんです。ただ、それが保険から給付を受けなかっただけでありまして、一応保険で認められている医療行為であることは事実であります。ですから、そういうものが保険の給付を受けた診療行為と一緒になっておるものは、我が省といたしましては、混合診療という認識は持っておりません。
○加藤委員
いや、保険の範囲内だと言うけれども、保険がきかないわけじゃないですか。請求したのに、そこは保険適用外ですよと言われたわけですよね。違うんですか。
○田村大臣政務官
我が省の混合診療の認識なんですけれども、定義といたしまして、保険で認められていない医療を保険で認められている医療とドッキングさせて診療した場合には、これは混合診療というふうに、混合医療と我々は思っておりますけれども、保険で認められておる医療内容と、たまたまそれが審査機構の方で認められている診療内容なんだけれども給付はしないという場合とが一緒になった場合は、これは我が省といたしましては混合診療というふうには概念的には思っておりません。

というわけで、減額査定された部分は自由診療ではあるが、保険診療と併用しても混合診療とはならないとの見解です。

日本の健康保険制度は世界一のシステムです。アクセス制限がなく、医療費も各国と比較して安く、質も高いからです。混合診療を認めるかいなかは司法の場でも議論されてはいますが、健康保険制度を継続性のあるものにするためには、保険診療とは何か、保険外の診療とは何か、そして、両者が併存する条件は何であるかの明らかな定義がほしいところです。
混合診療を認めるのか、認めないのか。健康保険法の改正をして、法令上きちんと示してほしいと思います。透明性なくして、継続性のある医療は提供できないと思うからです。

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