医療ガバナンス学会 (2021年3月17日 06:00)
伊沢二郎
2021年3月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
3月5日、緊急事態解除延長に絡む説明の折りに今後、高齢者施設三万ヶ所でのPCR検査と変異株の流行を把握すべく大都市でのモニタリング調査を行うことを表明した。
規模・頻度は分からないが、無症状者への検査の必要性を認めた発言だ。
これが昨年4月に中国から、無症状の新型コロナ感染者が他にも感染させる報告があって以降、一年経って漸く辿り着いた結論だ。
この間、厚労省医系技官・分科会専門家・感染研(以後、感染症ムラ)はその都度、PCR検査が拡充できない理由をこじつけて、やって来なかった。感染症ムラの人達は全く信用できない。
●最近、何故早くそうしなかったの批判を嫌ってか、前からそうであったと言わんばかりに何の説明もなく、無症状者へのPCR検査について言ったり、やろうとする動きが見られたが、この度は総理大臣自らその必要性に言及したことになる・・・
同じ日に、NHK首都圏ニュースで戸田中央総合病院での院内クラスターについての報道があったが、院内クラスターとしては最大クラスと言われてます。
昨年11月に看護師の感染が分かって以降2月迄に、看護師172名・患者150名が感染、内45名の死亡者を出した。
1月に厚労省から派遣されたクラスター班の調査報告は概ね、マスク無し会話・マスク出来ない患者・濃厚接触者の把握不足・シフト変更時の伝達の問題等がクラスター発生の主な要因としてます。
これだけを見れば病院側の責任は否めないが、日々四六時中緊張しながら従事する中、ホットする瞬間にマスクを忘れたとしても、誰が責めることが出来るでしょうか。他の要因も高齢者施設と同じく、ディスタンスが取れない病院ならではのことです、現に今尚クラスター発生は後を絶たない。
“だからこそ”無条件でエッセンシャルワーカーへのPCR検査をやるべきだったのだ。無症状者による感染が分かってからは、当然やらなければならないことだった。
病院側に完璧を求めるのは簡単だが、当事者にとっては大変厳しいことだ。
感染症ムラは「チャントやるように決めたもんね~」だろう
が、到底それで済む話ではない。
日本の公衆衛生に責任を負うトップ機関として、海外の取組に学び科学的思考を重ねれば、少なくも一波収束時に何をすべきかは容易に導き出されたはずだ。
感染症ムラの人達のやること為すことは、予想される事態に対して全くの、不出来・不作為に尽きる。病院側に非がある等と言える資格が有ることだろうか。
これ迄の、このような施設でのクラスター発生は、感染抑制対策の明らかなミスであり、この度の菅総理発言はそれを補うように、やってあったり前の事を表明しただけのことだ。
日本人なら、ねずみ算の一匹がその後にどれだけ影響を及ぼすかは皆知っている。況してやコロナの伝播は、ねずみとは比べものにならないほど早い。
感染症ムラの人達は、新型コロナ無症感染者を例え一人でも多く発見することの意味と重要性は知っていなければならなかった。やること為すことお粗末すぎて、二の句が継げない有り様だ。
又、やるべきコロナ抑制対策として、こんなに明らかで簡単な具体策の必要性が分かるのに一年も掛かることか。
ここに至る迄に、コロナ感染死亡者は8,300名を超え、経済も覚束ない、生活困窮からと思われる自死も、22,000名を超えた。
こんな事態に至ったのは、ウイルスキャリアになってしまう、無症状感染者を野放しにしたからだ。
昨年7月には、感染確定者と疑う余地のない濃厚接触者以外の言わば“ただの無症状者”には絶対にPCR検査はしないとも言える事を決め、この方針を周知徹底すべくご丁寧にも、問答集まで作成し各県保健当局に事務連絡している。
因みにこの時の責任者は、顧問として未だ省に留まっていると聞きます。個人的感情を言わせて貰えるなら、世が世なら「閉門の上、蟄居謹慎申し付ける」と言いたい。
感染症ムラの人達よ。日本の公衆衛生機関トップとして、あなた達は何を守ろうとしてきた。国民の健康と生命ではなかたのか。
●未曾有のこれ迄を省みれば、そして四波を懸念するなら、よもや新型コロナ検査拡充の動きが逆戻りすることは無いだろうが、期待される治療薬の開発には又も疑念を感じる・・・
待ち望んだコロナのワクチンは出来たが、その開発より早いように見える変異株の出現と市中感染のスピード。
それ故もはや、海外の一部では効きめが落ちる可能性を言う報道もある。我々高齢者が接種する時はどうなのか、打ったら打ったで、重篤なアレルギー症状を呈したという報道も有り悩みは尽きない。
しかも日本での事例は直近で、約15万人接種で25人と欧米に比べ圧倒的に多い、韓国も然り。欧米が接種する以前から、上 昌広先生が東アジア人での副反応はどうなのか、と指摘されていたのはこう云うことか。厳密にアレルギーをチェックしているから、とすることで説明が付くことなのか。
変異株の感染実態を把握する事の重要性は言うまでも無いが、こう云う時の為に在るのが感染研のはずだが、自らの権威主義が邪魔をして実態把握は、遅々として進まないように見える。進まないどころか、一部自治体や大学研究部門の調査にブレーキを掛けているのではないかとさえ感じる。
今ふっと湧いたように見える変異株の流行であるが、感染実態は以前からもっと広いのではないのか、これが四波の前兆かも知れない。こんなに見えにくい感染実態を招いているのは、感染研の縄張り意識の弊害によることだと言いたい。
変異株によって今後、ワクチン開発も目まぐるしく変わることでしょうが、今程度の変異株の実態把握では、日本人に適した国産ワクチンの登場は覚束ない、又も海外に遅れをとることになってしまうのか。
変異株へのワクチンの効果が変わってしまうのか、これが日本人に適しているのか、接種前から考えさせられる。
何れにせよ、有効な治療薬が待ち望まれるところ、新型コロナ治療薬としても有望視されるイベルメクチンについて、昨日(3/10)BS-TBSの報道があった。
出演されていたこの剤を手掛ける、北里大学 大村 智 記念研究所 感染制御研究センター長:花木秀明氏によると、安全性は証明済みで効果についても世界的に高い評価の割に、治験の進捗が遅いのは、安価でタブレットを一回服用すれば効き、且つ予防効果も有るからのようです。
我々にとっては、願ったり叶ったりですが、製薬メーカーにとっては、安くて良く効く事は開発コストの償却が遅くなるリスクに繋がり、投資意欲に影響してるようでこれが第二相試験に止まっている理由のようです。
これに掛かる開発コストは、数十億から数百億円だそうですが、アベノマスク程度の事だから、国が動けば、どうといういうことのない金額でしょう。
ところがそれ以前に、花木秀明氏によれば厚労省が初めて行った試験設定そのものに問題が有ったようです。これにより良い結果がでず、その後の遅れに影響が出たようだ。
厚労省により、何処で誰が試験をしたか知るよしも無いが、初歩的な事で不適切が有ったようです。
この事で恣意的な動きが無いとしたら、試験責任者の能力不足は否めない。そうでないとしたらもしや、イベルメクチンの開発にブレーキを掛けたのか、疑念が付きまとう。
アメリカではイベルメクチンを新型コロナ終息の切り札となり得ると言う研究者もいます。途中から評価を変えた政府の方針により、週当たり5万件処方されているとのことです。
実用されているアフリカで、感染者が低いことの疫学的な効果も言われる。
この様な海外に比べ、日本国内の開発に向けた動きの遅さを、どう考えるべきか。
多額の補助の下、日本でも独自のワクチン開発が行われています、因みにイベルメクチンは僅か4億円だそうです。
もしも、イベルメクチンの実力が海外の評価通りだとしたら、コロナの医療の在り方は大きく変わることになるでしょう、それ程のことを窺わせる。これにより不都合を被るむきもあるかも知れない。
憶測の域を出ないが嘗て、大問題を引き起こしたエイズ非加熱製剤の二の舞をやろうとはしてないか。
補助金を投入している先行剤を慮って、イベルメクチンの開発にブレーキを掛けてはいないか。
近頃は多くの国民が、コロナに関しての知識や見聞を得ている、そのツールも持っている。
その国民が厚労省のコロナ抑制対策のこれ迄を鑑みれば、信用ならぬ役所と云うことになる。
国民を余り侮らないほうが良い、ひき続き皆が注視することだろう。