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Vol.091 各国男女格差指数、日本は110位→121位に 日本の女性差別はなくならないのか?

医療ガバナンス学会 (2021年5月13日 06:00)


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この原稿はAERA dot.(2021年3月10日配信)からの転載です
https://dot.asahi.com/dot/2021030900023.html

山本佳奈

2021年5月13日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

3月8日は「国際女性デー」でした。「国際女性デー」とは、女性の権利や政治的・経済的分野への参加など、女性が達成してきた成果を認識する記念日で、1975年に国連によって「国際婦人デー」と定められ、現在「国際女性デー(International Women’s Day)」と呼ばれています。

きっかけは、1904年3月8日、ニューヨークで女性の労働者による参政権を求めるデモが行われたことに始まります。さらに6年後(1910年)にデンマークで行なわれた国際社会主義者会議で「女性の政治的自由と平等のためにたたかう記念の日」として正式に制定されたことから「国際女性デー」が始まったと言われています。

今年はコロナ禍ではありましたが、シリアやフランスなど世界各地で女性の権利向上を求めて集会が行われたようです。

「国際女性デー」は「ミモザの日」とも呼ばれています。3月になるとイタリアでは街中に黄色の花を咲かせるミモザですが、イタリアではもともと、感謝の気持ちを込めてミモザの花束を贈る習慣があったそうです。イタリア女性組合のシンボルとして3月頃に花を咲かせるミモザが選ばれ、またミモザの花束を贈る習慣が世界に広がったことで、ミモザが「国際女性デー」を象徴するようになったというわけなのです。

2019年12月、世界各国における男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数2020(Global Gender Gap Report 2020)」が世界経済フォーラム(World Economic Forum)より発表されました。調査されたのは153カ国であり、調査国全体で見ると政治や経済における格差が大きく、新興国と発展途上国では男女格差が悪化する傾向にあったが、2018年時点で世界における男女格差が完全に解消されるまでに108年もかかると推定されていた期間が、99.5年に縮小したといいます。

昨年は110位だった日本はどうだったのでしょうか。アイスランドやノルウェー、フィンランドなど北欧の国々が上位を占める中で、日本は121位とG7の中では最下位。昨年から大幅に順位を下げる結果となりました。その要因として、ランキングが上位の国と比べて女性の政治参加度が低い、女性管理職が少ない、家庭における女性の負担が大きいことに加えて、伝統的な社会の構造や風習が要因としてあるのではないかと分析されています。

2017年の秋以降、女性が受けた嫌がらせやセクハラ、性的暴行の被害体験を告白し共有する「#MeToo」運動がS N Sを通じて世界に広がり、世界中で性暴力やセクハラ被害が次々と明るみに出てきましたが、日本の医療界での女性差別といえば、女子受験生への一律減点による不正入試は記憶に新しいのではないでしょうか。2018年、東京医大が女子受験生を一律減点し、恣意的操作を行っていたことが発覚したことを発端に、女子受験生や浪人生への一律減点など医学部における不正入試の実態が続々と明らかになりました。

東京医大では、2010年の医学科一般入試で女子の合格者数が全体の38%に達したため、2011年頃より女子受験生を一律に減点し、女子の合格者数を3割に前後に抑えていたといいます。女子は結婚や出産で医師をやめるケースが多いことや、緊急手術が多く勤務体系が不規則な外科系の診療科では、「女3人で男1人分」と、出産や子育てを経験する女性医師は男性医師ほど働けないことが、女子のみ減点していた理由でした。系列の病院で勤務する医局員不足を懸念しての必要悪であり、暗黙の了解であったといいます。

一般に、女性の労働力率は、結婚や出産期に当たる年代に一旦低下し、育児が落ち着いた頃に再び上昇することが知られています。これは「M字カーブ」と言われており、女性医師も例外ではありません。平成18年度厚生労働科学研究「日本の医師需給の実証的調査研究」によると、女子医師の就業率は、医学部卒業後減少傾向を認め、卒後11年目(36歳)で76.0%まで落ち込んだ後、再び回復を認めています。

結婚や出産、不妊治療を機に医師をやめる、ないしは勤務を中断する選択をする女性医師がいることも事実ですが、ベビーシッターを雇いながら勤務を続ける医師もいれば、出産後すぐに復帰して第一線で働く医師もいます。多くの女性医師は職場や働き方を変えながら、時に休みながらも医師を続けています。けれども、経営側からすると、出産や子育てを理由にやめてしまい、男性に比べて戦力にならない女性医師はいらない、ということになるのでしょう。

医師の給与は、一般に男性医師の方が女性医師に比べて多いです。シカゴのSaunders氏らは、米国を代表する医師374人の調査の結果、女性内科医の年収中央値は20万ドルであり、男性内科医の25万ドルに比べて5万ドルほど低かったこと、さらにはまた、専門分野を問わず女性医師の方が男性医師に比べて年収が少なかったことを2018年に報告しています。

しかし、医師の性別の分布差が少ない職場ほど給与の差が縮まっていることが、米国のWhaley氏らの報告で明らかになっています。外科以外の専門医を調べたところ、男性医師が90%以上を占める職場では男性医師は女性に比べて1年間に19.9%(91,669ドル)も多くもらっていた一方、女性が半数以上を占める職場で男性医師が女性より多くもらっている分はその半分ほどの11.7%(36,604ドル)でした。外科でも同様の傾向が認められたといいます。

米国のハーバード大学のLy氏らが、2000年1月から2015年12月までに結婚した米国の夫婦ともに医師である4934組を調査したところ、子どものいる女性医師は子どものいない女性医師より勤務時間が短い一方で、男性医師についてはそのような差は認められない、つまり、育児にかかわる時間に男女差があったのです。

先月、「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」という東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗・元会長の発言が、国内のみならず世界を巻き込む騒動にまで発展しましたが、女性に対する差別的な問題は依然として残ったままです。年に一度の「国際女性デー」をきっかけに、こうした問題が少しずつでも着実に解決されることを願っています。

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