医療ガバナンス学会 (2021年6月22日 06:00)
神奈川県議会議員
小川久仁子
2021年6月22日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
地方独立行政法人神奈川県立病院機構(以下「機構」)神奈川県立こども医療センター(以下「こども医療」)には、仮に私に病気を持つこどもがいても、絶対に、このこども医療には入院させない。いえ、受診さえさせない。
なぜなら、レジオネラ菌とCREが同時に検出されているからである。
これらの菌は、重篤な基礎疾患を抱えた高齢者や幼児には非常に重大な影響を与える菌である。その事実を広く公表もせず、隠ぺいしてきた「こども医療」の幹部には、重大な業務上の過失があると、考える。その幹部が責任もとらずに当該病院の運営を担っている限り、この病院には安心して、こどもは預けられない。
また、ここに報告することは、新聞報道、神奈川県議会厚生常任委員会での報告事項や答弁、小川久仁子個人の資料要求による公開情報を中心に述べている。しかし、公益を守るために、独自に得た情報も交えている。そして、その情報は、機構に私が通報し、こども医療改善の努力や情報公開を強く求めてきたことも、あらかじめ述べておく。
http://expres.umin.jp/mric/mric_2021_118.pdf
上記時系列に従って、まずこども医療におけるレジオネラ菌について述べる。
レジオネラ菌は浴場などで発生する菌であり、高齢者や幼児が感染し肺炎を発症すると死亡率は50%に至ると言われている。( http://www.kankyokansen.org/journal/full/03502/035020081.pdf )
一般によく耳にする菌ではあるが、病院で発生すると、死亡事故につながることもあるので、論文発表され、同じようにレジオネラ肺炎が発生して苦しむ他の病院の一助となるようにと経過が報告されている。( http://www.kankyokansen.org/journal/full/03305/033050193.pdf )
レジオネラ菌についての神奈川県議会厚生常任委員会における当局答弁(2021年3月4日)では、レジオネラ菌は珍しい菌ではなく、こども医療では昨年の8月にも検出されている、など、たいした問題にはならないという論調であった。
しかし、私が承知しているこども医療の内情に言及し、誠実に答弁するよう健康医療局に求めたところ、答弁内容が急変した。こども医療、機構、県当局の情報共有が不足していたので、今後はしっかりと連携をとり、県当局もこども医療を指導していく、との答弁であった。これ一つとっても、こども医療も県当局も隠ぺい体質であることが、よくわかる。誠実に答弁してほしい、と要請しなければ、当局答弁は1回目の質疑と同様に、たいしたことはない、というトーンのままであった、と思われる。
レジオネラ菌やCREは、医療従事者ではない私にとっては、ほとんど知識をもたない分野ではあったが、こども医療においての発生であるので、急遽資料を集め始めた。上昌広先生をはじめ、知己を得た医療関係の方々には、機会をとらえては指導をいただき、関係論文も読みあさった。
こども関係の病院などで、レジオネラ菌肺炎が発生するなんて、考えられない。普通はありえない。あってはならないことである、という医療関係者の声を聴いた私には、1回目の質疑の当局答弁はとても信じられないものであった。
令和3年2月19日にこども医療HPにレジオネラ肺炎発症の広報をするとともに、入院制限は行ったようである。が、病棟閉鎖、診療停止という判断は下されていない。のちに明確に神奈川県議会厚生常任委員会で報告されたのであるが、横浜市南区保健医療センターの指導により、こども医療センターの本館地下2Fから地上4Fの中央手術室、ICU病棟、HIU病棟、救急病棟、4F病棟の給湯設備が使用不可、及び同地下1Fから地上4Fのトイレ洗面台、が使用不可になっていた。こんな重要な領域が広範囲にわたり給湯設備使用禁止であったとは、大きな驚きである。しかもこの病院の心臓部と言ってもいい領域である。これは、非常に心配な状態であるのに、入院制限を行っただけである。しかも手術も行われてきた。給湯設備が利用できず、しかもトイレ洗面台が使用不可であったのに衛生状態が保たれたのであろうか?大きな疑問が残る。
こども医療は、1970年に国内2番目の小児総合医療施設として設立された。「小児医療は未来に向かう医療、医療と福祉の面から社会を変えたい」と前Y総長(こども医療は総長、院長がいる)が語っているとおり、小児がんセンターも擁し、神奈川県の小児救急の三次医療機関として重篤な患者の受入れを担っている。
こども医療に入院するお子さんは基礎疾患をもった患者さんである。前述のとおり、小児三次医療圏における重篤な患者さんを受け入れている病院でもある。こういう患者さんがレジオネラ肺炎を発症すれば、相当重篤な状態になると容易に推測できる。2月20日の新聞報道によれば当該患者さんは、快方に向かっている、とのことだが、これについて病院側は個人情報に関連するので、一切答えられないとガードが堅い。では、どこのだれが、快方に向かっていると取材に答えたのであろうか?不思議だ。機構担当課長に聞いても現在は何も答えない。が、その患者さんの容態については、私は非常に心配している。
そして、最も責任が問われるのは、レジオネラ菌が発生する環境を放置してきた施設管理者の管理責任である。現在、機構理事長が直接解決に乗り出し、業者による調査を重ね、給湯配水管と水道配水管を完全に分離し、不使用水道栓の撤去なども行っていると聞いている。大がかりな改修工事を行ってもなお、レジオネラ発生の原因箇所が特定できないとも聞いている。それだけ根が深い施設問題をこれまで、放置してきた結果、レジオネラ肺炎を発症した患者が出てしまったのであるから、施設管理者である総長の責任は重大である。
しかも、横浜市のレジオネラ菌管理指針要綱によれば、レジオネラ菌については、病院においても年に一度は検査結果を所管地域保健所に報告するよう求められている。また、同菌が検出された時には、保健所に報告し、感染者の有無を調査してこれも報告することになっている。これらの義務をこども医療センターは2度にわたって履行していない。義務不履行については、指針要綱には罰則は規定されていないし、立入調査権限も規定されていない。
しかし、機構傘下であり、小児医療三次医療圏における重篤患者受入れを担う、公的病院であるこども医療が、平成30年にさかのぼり、2回にわたりレジオネラ菌が検出されたのに、保健所に届出もせず、消毒作業の結果不検出になった、として、根本的対策をしなかったことに、施設管理者には大きな責任がある。不作為の責任である。こどもの命を預かる資格はない。
これについては、横浜市担当課からも見解を聞いているが、何度も立入検査に入り、必要な指導は行っているそうだ。現在も経過観察中である、とのこと。
しかし、今までレジオネラ菌が検出されないとされていた領域からも菌が検出されたので、検査手法を変えて、現在検査結果待ちである。
外部から見ても、内部の情報共有、認識共有ができていないと映るらしく、県議会議員としては、こども医療をしっかり指導できていない県の現況を恥じ入るしかない状態である。
一方、6月3日に、機構が設置した「レジオネラ肺炎発症に係る調査検証委員会」第1回が開催された。当日の検討内容は全く聞いていないが、(1)このレジオネラ菌再検出か?(2)CRE保菌者17人目が見つかった。という状況下で、どんな報告を行ったのだろうか?
はたして検証委員会は11月に結論を出すというスケジュールでいいのか?
検証にわざと時間をかけて、総長退任時期とあわせるつもりなのではないか?
早急な検証結果を求めなければならないほど、こども医療は緊急事態なのではないのか?
現在進行形で対策強化に全力を傾ける時なのではないのか?
結論が出るまでに、入院患者さんに新たな犠牲は出ないのか?
特にCREが伝播している病院は、横浜市では、唯一、こども医療だけだ。重ねてレジオネラ菌だ。
こども医療の幹部には、レジオネラ肺炎を発症した患者さんに対する、心からの謝罪と、悔い改めを求める。施設が悪いのであって、自分には何ら責任は無いと公言してはばからない幹部医師には、即刻辞職を求めたい。そして、それほど、重大な結果をもたらしている「不作為の罪」の自覚を求める。
機構 こども医療の名誉のために申しあげる。