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Vol.133 花咲く日をみんなで迎える努力をしよう‐50 ;ここまでくると、ワクチン、ワクチン、ワクチンだ!

医療ガバナンス学会 (2021年7月14日 06:00)


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この原稿は中村祐輔の「これでいいのか日本の医療」(6月12日)からの転載です。
https://yusukenakamura.hatenablog.com/entry/2021/06/12/202239

中村祐輔

2021年7月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

このブログも6月21日、7周年を迎える日で最終回を迎える。もともとはシカゴから、がん患者さんに新しい情報を伝えるために始めたが、この1年は、コロナ感染症流行に対してあまりにも世界標準からかけ離れたコロナ対策に、国のコロナ対策批判が増えてしまった。正直なところ、日本という国に対する国際的な信頼度はかなり低下したように思う。G7会議で「開催を支持する」と言うコメントがでるのか、「開催への努力を支持する」コメントとなるのかで今後の方針が変わってくるだろう。

ワクチン接種が進んでいる米国もヨーロッパもすっかり様変わりしつつある。しかし、この国の懸念材料は、東京や大阪の大規模接種会場での予約率は急低下していることだ。小林幸子さんではないが、「もしかして」、ワクチン接種を受ける人の割合はあまり増えてこないかもしれない。もう一つの懸念は、インド株(デルタ株)の感染力が高く、血管病変も強いことだ。末梢血管が閉塞して手指を切断するケースもあると報告されている。高齢者のワクチンが予定通りに7月末までに終わったとしても(?)、感染する人は若者中心なので、2-3か月以内の感染再拡大は必至だ。

ワクチン接種と変異株対策が急務だが、6月10日号のNatureに「Adjuvanting a subunit COVID-19 vaccine to induce protective immunity」というタイトルの論文が報告されていた。コロナウイルスのスパイクタンパク質のうち、ヒトの細胞に結合する部位のペプチドを利用してウイルスを中和する抗体やT細胞を誘導したという。mRNAワクチンはmRNAの情報をもとにスパイクタンパクを作ることで免疫を誘導するのだから、直接ペプチドを打つことは有効で当然だ。今や、ペプチド合成技術は進化したので、この方向性はこれからの流れだ。

しかし、竹中平蔵氏という人の発言を聞いていると、こんな人の意見を聞いているから日本はおかしくなったのだと思う。今日は「ワクチンの遅れは総理大臣が早く承認しろと言ったのを厚生労働省の怠慢で遅くなった」と発言したようだ。はっきりと言って、こんなレベルの人が大臣をしていたのかと思うと背筋が寒くなる。薬剤の承認を総理大臣が決めていいなどと考えているなら、この人はおかしい。科学と政治を混同している非常識極まりない発言だ。何を目的にオリンピック開催を煽るのかと勘繰りたくなる。

そして、とうとう、東京都と神奈川県のコロナ感染陽性者数が先週土曜日を上回った。人の流れがかなり増えているので当然だと思うが、緊急事態宣言下でも増加傾向になってくる状況では、この先が相当心配だ。オリンピックを開催してもしなくとも、ワクチン接種を加速するしか、この国を救う方法はない。ただし、党首討論で、「ワクチン接種は1日100万回を超えた」と総理は発言したが、公式なものでは1日100万回にははるかに及ばない。私はコロナ接種を応援すべく、厚生労働省のアプリに登録したが、ウンともスンとも言ってこない。とにかく、ワクチン、ワクチン、ワクチンだ(検査も不可欠だが!)

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