医療ガバナンス学会 (2021年8月9日 06:00)
東京理科大学基礎工学部名誉教授
山登一郎
2021年8月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
短く警告を発します。
都のアドバイザリーボード(8月6日)は、8月18日には公表新規感染者数1万人になり、その時には1000人に一人が感染することになると、のんきな発表をしています。市中無症状者の存在には気づかないのでしょうか。
Vol.139 にも書いたように、公表新規感染者数は行政・保険適用検査での陽性者数、陽性率です。民間自費検査の陽性判明者も、行政検査を再受診して陽性確定し、算入されます。しかし公表新規感染者数情報の中で、民間自費検査経由かどうかなどの内訳さえ開示されていません。結局、市中感染者全数も市中感染率も見えないままです。
さて、感染者のうちの有症・無症割合も、治癒回復で感染源でなくなる日数も調べられていません。当初のデータを利用して、2割有症、20日回復と仮定し、公表新規感染者数が有症者数に対応すると考えると、その約80倍は市中感染者がいることになります。つまり、5000人の公表新規感染者数の場合、市中での実際の新規感染者数は一日25000人、市中での全感染(源)者数は40万人近く、すなわち25人に一人の感染者数という計算になってしまいます。周りの25人に一人は感染源と考えてもいいほどに感染は拡大しているのです。でも、誰も気づかないように映ります。何故なら、いまだにその実際の数が調べられていないからです。
どうしてモニタリング検査もせず、または民間自費検査の検査情報も収集せず、政府自治体専門家報道もそして国民も含め、この国ではのんきに危機意識無くコロナ感染拡大に手をこまねいているのか、不思議です。
再度類似例を記載します。戦中、戦況情報を収集しようとせず、戦況を隠蔽・粉飾したまま、全国民を戦禍にさらした参謀本部とその取り巻き連中を彷彿とさせます。