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Vol.239 新政権は非常識な感染症ムラの常識を変えることになるのか

医療ガバナンス学会 (2021年12月21日 06:00)


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伊沢二郎

2021年12月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

自民党・佐藤正久議員はテレビ番組内で、3回目ワクチン接種が何故八ヶ月後なのかを厚労省に問い、2回目の最後と3回目の初めが重なり混乱する、との返事を受けたと述べた。

しかし後藤厚労大臣の説明は、一律に接種を始めるとワクチンが不足することになる、と言うことであった。
厚労省のこれ迄の説明は結局、ワクチン確保が出来ていなかったことを覆い隠すだけの事がバレてしまった格好だ。
こと国民の健康に係わる重要なことを、厚労省はこんな屁理屈で通しおおせるとでも考えていたのか。近頃は中学生でもこんなに稚拙なことは言わないだろう。流れは出来るところから始めるようだ。
海外で3回目接種が言われ始めて、かなりの時間が経過していると云うのに、医系技官よその間何をしていた。ワクチン確保の為にもっと働け、と言いたい。

今国会冒頭は立憲民主党から水際対策で何故、抗原定量検査ではなく精度がより高いPCR検査をやらないか、の質問で始まった。今後は入管対策の是非についても焦点が移るようだ。

折角、コロナ国内感染が一定の低いレベルで推移しているのに、オリンピック開催を慮って水際対策が大甘になったその前後の失敗を考えれば当然のことだ。

これについての岸田首相の答弁は精度がPCR検査と同等で所要時間が短い抗原定量検査が適切、事例によりPCR検査を再度行う主旨であった。どうせ医系技官の作文だろうが一国の首相の答弁書だ、もっと科学的・合理的な作文をしたらどうだ。
得体が知れないオミクロン株のこと、先ずはより精度が高いことが優先ではないのか。両者の所要時間差は二時間弱、この差が何だと言うのだ。

所定の施設で待機のことも、オミクロン株非流行国とされている国からの入国者に陽性者が見つかり、医系技官の思惑は最早崩れた。3日間・6日間の待機施設入りする取り決めは、自宅待機に変わった。理由は待機施設が不足するからとのことだ。初めから最悪を想定していれば良いものを、何度失敗しても学習能力が無い連中だ。

内閣官房参与・岡部信彦氏は、抗原定量検査とPCR検査の二段構えを、初めは粗い網で掬い次は細かい網でやると例えたが、ドジョウ掬いでは粗い網は使わない、昔から笊でやることに決まっている。
自宅待機中の自己管理、行政の管理がちゃんと出来るとは誰も思わないことでしょう。であれば入国時の検査はより精度が良いPCR検査以外に選択肢は無いはずだ。本当は陽性なのに粗い網からこぼれたら水際から市中感染を招くのは必死だ。
それでも精度は同等と言い張るなら何故、抗原定量検査も行政検査の対象にしないのだ。

岸田首相は今後も、岡部参与にコロナ対策の意見を求めるのだろうが心配なことだ。外部には適切なアドバイスが出来るもっと専門性豊かな方々がいると思うが。

医系技官が自分達にとって都合の良い理屈を並べている内に、オミクロン株が主眼の水際対策は後退してしまった。
結局この事も自らの能力・努力不足が招いたワクチン不足を、接種時期を先伸しして問題を顕在化させない為に都合の良い理屈を並べることと同じだ。
得体の知れないオミクロン株なのに3日間と6日間と云う根拠に乏しい事を決め、入国者をさっさと退所させて施設不足を隠そうとしただけのことだろうが。

起こした問題や落ち度を覆い隠す為に整合性を執ろうとすればする程、理屈はただの屁理屈になって行く。国民にはとっくにバレているぞ。

因みにこの期に及んでも、抗原検査かPCR検査かの是非を国会で問わなければならいのは世界の常識に反し、PCR検査を抑制する方針を立てたことによります。これをやったのは昨年8月に退官した、厚労省医系技官トップの鈴木康裕氏です。

抑制する理由は仮に、PCR検査陽性者の半分が疑陽性だったら、必要が無い人にベッドを埋められてしまう、との主旨を述べている。世界でこんな事を言う専門家はいないそうです。それにしてもよくぞこんな有り得ない例えをしたものだ。又、疑陽性者を隔離してしまうことは人権侵害に当たる、とも述べている。これ又よくぞ言ったものだ。
一波以来、PCR検査にさえ辿り着けないで治療が遅れた為に命を落とした方々は少なくないはずだ。人権侵害云々する前に最悪の人権侵害である人命軽視をしたのは何処のどいつだ。

この方退官後のTBSのインタビューで、医師により検査が必要と診た人がPCR検査を受けられなかったのは申し訳なかった、と一応反省の色を示している。
今さら何をぬかす(やった事と著しく異なる事を言う様を巷ではこのように言うらしい・どの面下げて言う、と同義語)と言いたい。退官後とは云え先輩の発言を現役医系技官はどう受け止める。

ついでに言うとこの方、覚えめでたく現在は国際医療福祉大学副学長に就いているが、在職中に関係した営利企業への就職禁止(退職後2年)とする国家公務再就職規制に照しどうなのか、人事院の承認はどうか、疑問は残る。大学は別と云うことなら多額の補助金が投入されているのだから、そもそもがおかしな規制だ。

話を戻します。

今後の課題は低いレベルで推移しているコロナ感染をどこまで維持できるかと云うことでしょう。
国民の感染予防意識・行動は、二度と医療崩壊の目に遭いたくない一心から今もって変わることはない、今が肝心と国民は頑張っている。
で在るのに医系技官のやる事なす事の体たらく振りは何だ。ワクチン確保の遅れを屁理屈で隠す・入国者の待機施設不足の事態を根拠無き3日・6日待機でかわそうとする。

キーワードは“不足”だ。情報を一手に独占し誰よりも早く詳細に知る立場に在って、政治家には無論のこと国民にも伝えなければ事態は停滞するだけだ。秘密はこれに限らない、超過死亡・コロナ無症状者の実態・ゲノム解析件数と結果、等々だ。国内にオミクロン株の流行は無い、と言われても信用できる訳が無い。
今もって国会で検査手段の是非を問わなければならない有り様、国民として世界に向けて恥ずかしいかぎりだ。

医系技官初め感染症ムラの秘密主義は一波以来何が有ろうが首尾一貫している、変わらないのは体質なのでしょう。
この体質、何時から何処から来ているのだろう。
感染症ムラの発足由来は明治時代、旧帝国軍隊にまで遡ると聞きます。欧米列強と対峙する時代なら自国軍内の不都合は当然隠しおおそうとする。特に感染症は秘中の秘であり、その為には国民への対応も同じことでしょう。

では令和の今は何と対峙している。列強はいない、残るは国民か。言うまでもなく明治の先人は国を守らんが為の秘密主義だが、この遺伝子は国から小さな小さなムラを守らんが為に変異を重ね、今に継承されている。

体質ならこのムラに合理性を求めること自体が無駄なことです。やはり感染症ムラの解体しか方法が無い。この結論に至った今日この頃です。

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