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Vol.22161 東京大学の学生に対するコロナ対応について

医療ガバナンス学会 (2022年8月9日 06:00)


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元東京大学教養学部学生
匿名

2022年8月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

「1年生と2年生が所属する東京大学教養学部前期課程では、新型コロナの影響で定期試験を受けられない学生に追試などの救済措置を行ってきましたが、先月に打ち切りとなりました。

このため試験を受けられなかった学生は従来どおり、科目によっては追試やレポートの提出などの機会がなくなるほか、追試があったとしても得点の上限が本試験の75%に制限されます。」
という報道があった( https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220804/k10013754071000.html )。

東京大学に入学すると、まず教養学部に所属する。その後、2年生の秋に専門の学部への進学が決まる(進振り、と呼ばれる)。希望する専門学部への進学は競争だ。進学できるかどうかは、教養学部の定期試験の成績(点数)で決まる。人気の高い学部には相当に高い点数をとらなければ進学できない。
点数が1点足りなくて希望する学部に進学できず、第二志望、第三志望の学部に進学せざるを得ない学生も多いのだ。

だから、「追試があったとしても得点の上限が本試験の75%に制限されます」ということは、コロナの隔離期間や濃厚接触者となってしまい本試験が受けられなかったら、どれだけ勉強して満点近くだったとしても、75点しかとれない。点数が大幅に下がってしまうため、人気の高い学部への進学を断念せよ、ということと同義だ。東大の定期試験の点数措置は他大学のそれとは意味合いが異なる。

措置の変更によって、東京大学に入学してきた自らの教え子の希望する進路を断ってしまう結果にもなるわけだが、教授達は何の疑問も感じていないのだろうか? 代替手段など真剣に検討したのだろうか。
コロナの第6波、第7波の感染者数は桁違いに多い。今やコロナは、”注意していれば罹らない病”では決して無いのだ。感染者や濃厚接触者の隔離期間は学生の都合ではなく、定められたものだ。

報道を見て驚いたことがもう一点あった。日刊スポーツの記事では、東大側のコメントとして、「5 月 17 日の回の評点について誤って杉浦さんと他の学生の評点が入れ違って入力されたことにより、本来の点数より高い評点がついてしまったことが判明したため、修正されたものです。このミスについては、当方は非を認め、近日中に再発防止を含めて説明する予定です」とある。
前述のように、進振りでは1点の差で泣くこともある。
東京大学教養学部の教授が、学生の点数を、資料によれば17点も「誤って」「入れ違って」つけたのだという。さらに、後から「判明」したのだという。これは東京大学教養学部にとって大きな問題ではなかろうか。過去に遡って全生徒の成績をきちんと調査し、間違えられた本人には誠実に説明をし、再発防止策を発表すべき事案であろう。元学生として、教養学部の教授の皆様に切にお願いしたい。

東京大学教養学部で不利益を受けた学生が、自分の成績等を公表して大学と争うことは大変に勇気がいることと思う。進振りをひかえた学生は特にそうだろう。

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