医療ガバナンス学会 (2022年9月16日 06:00)
某保健所長
2022年9月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
ワクチン接種と感染:4回もワクチンを打っているにもかかわらず、感染し発病した。交互接種を行い、4回目接種からほぼ1ヶ月なので十分免疫はかかっているはずだが、ワクチンの感染予防効果は十分ではないことがよくわかった。オミクロン株にかかわらず、新型コロナウイルスではそんなものだろう。周りを見ると、感染した人達は全て予防接種を済ませていた(注1)。
感染予防:感染にはとても気を付けていたが、どこで感染したか不明で、思い当たる節はない。昼食も含め(個室で孤食)、外食はしない。外飲みは元々しない。カラオケは嫌いなど、感染しやすいとされる環境には全く近づいていない、つまり家と職場の行き帰りのみ。もちろん、マスク(不織布)、手洗い、ソーシャルディスタンスなど通常の感染予防は行い、職場もアルコール消毒やアクリル板による遮蔽、換気等は十分なされているし、クラスターは発生していない。
感染した知り合い達に聞いてみたが、どこで感染したか全く見当がつかないと。つまり、オミクロン株では、麻疹並み(麻疹以上?)の感染力で空気感染が主なため、感染に気をつけてとか言っているが、今までの対策では追いつかないことは明らかだ。飲食店狙い撃ち対策等はもう役立たない。
重症化予防:60代だが、確かに重症とはならなかった。いわゆる風邪だった。これはワクチンの効果だろう。やっぱりワクチンは、感染予防ではなく、重症化予防だ。もちろん、偶然重症化しなかっただけかもしれないが、、、
症状:最初は喉の痛みだった。これは日曜日から。月曜日になるとひどくなった。朝から37℃後半。あと、鼻汁と鼻づまり、軽い咳。今の時期、この症状ではコロナに間違いないと思い、手元の抗原検査キット(研究用)で調べた。バンドは薄いが、陰性とは言えなかった。翌日、別の抗原検査キット(診断用)でも調べると、非常に薄いが確かに陽性のバンドが確認できた。よって、予想通り、新型コロナウイルス感染症に感染、発病と診断した。夕方、悪寒戦慄、翌日も。しかも、鼻水、鼻づまりはひどくなり、黄色くなってきた。咳も強くなったが、息苦しさは感じなかった。ただ、頭がぼーっとした感じは半端では無く、全身倦怠やイライラ感は強かった(注2)。これは一週間程度続いただろうか。インフルエンザのように床から起き上がれず著しい高熱というわけではないので、風邪としての扱いで良いと思われた。しかし、ただの軽い風邪ではないと感じた。頭のぼーっとした感じ、倦怠感とイライラ感は特徴的だった、少し重い風邪とでも言うべきだろうか。上気道の炎症が強く、そこに細菌による2次感染が起こったと思われたので対応した(注3)。
思ったこと:
・新型コロナウイルス感染症はとっくに蔓延期だ。当然2類相当の扱いは適当ではない。ちょっと重い風邪程度かな。10日間の自宅療養は妥当で、一週間では回復しない。
・ワクチンを接種しているので感染しても体内ウイルス量があまり上がらないためか、抗原検査キットではバンドが薄い、出ない場合も多いようだ。まわりに聞いてみた所、2回陰性でもPCR陽性とか結構あった。以前の株と違い発病前からウイルス量が跳ね上がる状況ではなく、ウイルス増殖の立ち上がりが遅いようで、症状が出てすぐに検査しても陰性が多いことに繋がるのだろう?やっぱり、株の違いというより、ワクチンの影響かな?感度の高いPCR検査を使うべきかもしれないが、これだけ蔓延しているので、時間のかかるPCRで診断することにどんな意味があるだろうか?
要するに風邪を引いたら家で休むということではないか。以前「風邪は自己責任、風邪を引くのは個人の自己管理がなっていない」とか言われたが、単純に風邪を引いたら仕事を休む、つまり、病気になったら仕事を休むことは当たり前なだけだ。実際、頭がぼーっとして仕事にならないだけでなく、周りにうつすわけだし、風邪は万病のもとだから。
・感染に気をつける?感染に気をつけて外国人観光客を迎え入れる?
相手は麻疹並み(麻疹以上?)の感染力で、空気感染が主なのだから、対策は無いのでは、、、
気をつけるといっても、、、不織布マスクでは空気感染には役立たないし、N95マスクでは生活できないし、換気といっても、、、
つまり、対策をしても無駄では?今の日本は外国に比べても凄い感染者数だし、精一杯感染対策を行ってきた結果がこれだし、、、
でも、外国人観光客が日本旅行中に悪化したらどうするのかな、、、
・患者の全数把握はやらなくても良いでしょう、ここまで来れば。しかし、医療機関へのアクセス(相談、受診、入院)はしっかりしておくべき。病気は医者が診る、これは当たり前だから。実際「うちのクリニックは診ない」といっても、無症候や軽症も含めて感染患者は来る可能性大だし。「何かあったら医者へ」が病気の原則!
前から思っていたけれど、病気の患者を実際に診てもいない行政の事務職員が自宅だのホテルだの入院だのとふりわけるのはどうなのかな?患者を診る、そして対応する、それが医療の基本では?判断するのはその診た医者のはずでは?病気が家庭の医学書に書いてあるようにすべて同じで単純ならば問題ないが、それならば医者はいらない。人によって違うのは当たり前。また、医者以外の人間がああだこうだ医学的なことをいうのはどう考えてもおかしい(注4)。笑ってしまったのが、みなし陽性とかいうもの。通常の医療では、暴露集団内で同じ症状なら、検査しなくてもすべて同じ感染症と診断するはず!わざわざ、みなしとして対応を変える必要はない。
新型コロナウイルス感染症、ころころ変わる変異株、それに対応するには?しかし、あまり対応しなくても、季節性変動があるようで、増えては減ってくる。もう、自粛だの正念場だの行動制限などは意味をなさないのは明らかだ(注5)。繰り返すが、重症化したり、持病の悪化等で全身状態が悪くなる人たちがいるので、医療へのアクセスは必須だろうし、それは他の病気でも同じだから(注6)。それをどうするのか、やはり、医療全体でコロナを診るということ以外ないのでは、、、「医療の原点に帰れ!」
注1:当初ワクチンが切り札とか国は言っていたが、元々ワクチンの感染予防効果は百パーセントではないことはわかっていた。オミクロン株対応ワクチンでも完璧に感染予防とはいかないだろう。インフルエンザも毎年予防接種は必要だし、感染予防効果は完璧には程遠い。
注2:東大の学生が新型コロナウイルスに感染し、手続きが出来ず、留年となったことが問題となっているが、新型コロナウイルスに感染すれば、頭がぼーっとして手続きが出来ないのは当然では、、、私もCOCOAは到底無理だったし、、、
注3:このため、クラリスロマイシン投与となった。投与後、次の日には、副鼻腔炎様の症状はやわらぎ、次第に咳も収まっていった。クラリスロマイシンの抗炎症作用も効果的だったかもしれない。他でもクラリスロマイシンは有効だったと聞いた。
注4: 前述したコロナに感染した東大の学生。医者がコロナと言っているのに、医者でもない人間が詐病だとよく言える。大事な学生を預かっているのだからちゃんとして欲しい。更に点数を他人のものと間違えていた、これって懲戒の対象では?患者取り違えは、新聞に載り、訴訟となる大問題!点数取り違えは学生にとっては死活問題なはず!
注5:今までこの山を乗り越えるためとして、自粛とかいろんな制限を声高に叫んでいたのは何だったんだろう。どうせ、山は自然と減っていき、また山がやってくる。この山を越えれば終わりのような印象を与える、脅す、、、今考えてみると?山が下がった時にもっと次の山への対策を打ち出さなければ!
最初は感染症の専門家が出てきて、なるほどと感じさせる発言をしていたが、すぐに化けの皮が剥げた。医療は経験の学問であり、感染症も同様である。よって、実際患者を診ている、接している方がよっぽどよく知っているようになったと思う。数理モデルなんて、役に立ったのかな、、、
注6:医師会がんばれ!今まで最前線で頑張ってきた医者だけでなく、もう貴方達がみんなで知恵を出し合って対応するしかないよ!
だって医者だろ!