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Vol.22250 「現場に行くことの意味〜大学生としてすべきこと〜」

医療ガバナンス学会 (2022年12月9日 06:00)


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東京海洋大学1年
安永和矩

2022年12月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

私は夏に、宮城県と福島県を訪問した。私は、福岡県で生まれ育ち、大学入学にあたって上京したため、今まで東北地方とは縁がまったくなかった。そのため、今回の訪問を通して、異なる文化を体感し、多くのことを学んだ。ここでは、そこで学んだ事と大学生としてこれからすべきことについて述べていこうと思う。

特に印象に残っていることは、宮城県仙台市にある震災遺構の「荒浜小学校」の訪問である。荒波小学校は、東日本大震災の際に、2階床上にまで津波が達し校舎が大きく損傷したものの、児童や教職員、付近の住民ら計320人が屋上に避難し、津波の被害から難を逃れた学校である。この校舎内の天井や床には生々しい傷跡が津波の圧倒的な威力を物語っており、それを目の当たりして、息が詰まるような気分がした。自分たちと同じように楽しく学校に通っていた小学生達の幸せが一瞬にして奪われた。黒板に残った「今でしょ。」という文字が、私たちと同じような日常生活がここで行われていたということを感じさせた。震災当時の自分は、津波というものをあまり理解しておらず、何が起こっているのかわからないまま、テレビで家が流されている映像を見ていた。いざ現地に来てみると、私が今まで震災について知っていたことはほんの一部であったことを痛感させられた。海から700m離れたこの小学校にまで、二階分の高さ水の塊が押し寄せてくることの恐怖や避難した屋上で救助を待つ心情。被災地を訪れ、現実から目をそらさずに向き合うことで初めて、東日本大震災のもつ意味を考えはじめることができるようになったと思います。

震災から約10年、杉の木など当時の爪跡を残しつつも、かさ上げ道路の建設や海岸林の再生など、復興は確実に進んでいた。植物が鮮やかな緑色で生い茂っている様子や子ども達が海で楽しそうに遊んでいる様子がそれを強く感じさせた。それと同時に、確かにそこにあった営みが全て失われてしまったような、どこか淋しい印象も感じた。これは、現地の景色が当時の人々の思いを代弁しているのだと思う。当時の辛い思いを心のどこかに抱えながらも、私たちと同じような日常がそこには流れているようだった。

今回の経験を通して、机上で学ぶ事も重要ではあるが、それ以上に、何事も実際に行動し、現場を知り、「本物」を体感することが重要であると感じた。大学生の間に興味をもった事柄については、文献を読むだけでなく、積極的に行動していこうと思う。また私は、水産系大学に通う学生である。普段から漁業の抱える課題について学ぶ機会が多くあり、漁業の再起にとても関心がある。しかし、まだスタートラインには立てていないと思う。実際に漁業の現場に足を運び、現場の人と交流し、自分自身で体感したりすることで初めて課題を認識し始めることができると思う。また、現場に行くことで、机上の空論にならない、現場と一致した支援が可能になると考える。そのため、私は大学生の間に漁業の現場に積極的に足を運ぼうと今回のインターンで強く感じた。一年生のこの時期に、「現場を知る事の重要性」に気付くことができたことが今回のインターンでの一番の学びである。

○略歴
2021年3月 福岡県立嘉穂高等学校 卒業
2022年4月 東京海洋大学 海洋生命科学部 海洋生物資源学科 入学
参考文献
・仙台市ホームページ 「震災遺構 仙台市立荒波小学校」
https://www.city.sendai.jp/kankyo/shisetsu/documents/arahama_brochure202004.pdf

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