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Vol. 339 東京大学医科学研究所の臨床研究に関する報道に対する意見書

医療ガバナンス学会 (2010年11月5日 06:00)


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横浜市立大学医学部長(全国医学部長病院長会議会長)
黒岩義之
2010年11月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


2010年10月15日、東京大学医科学研究所におけるがん治療ワクチンの臨床試験に問題があるとの報道がなされました。これを受けて東京大学医科学研究所は記者会見を開き、さらに複数のがん患者団体が共同声明を発表しました。
この一連の経過はがん治療薬の治験に関わることでありますから、がん患者さんの不利益になることは当然避けなければならず、事実を確認するプロセスは極 めて重要であります。しかしながら、がん患者さんが参画する治験や臨床試験においては、被験者への十分な配慮が不可欠であります。日々その生命をかけて、 病と闘っているがん患者さんがその病と対峙する意欲に影響を持つような問題に関しては、慎重にも慎重な、そして適正な検討と対応を経た報道を要望致しま す。またリスクについては、適切な検証を要し、それが過大に評価されてはならず、あくまでも科学的に考証されなければなりません。

今回のがん患者団体の声明にある「臨床試験による有害事象などの報道に関しては、がん患者も含む一般国民の視点を考え、誤解を与えるような過激な報道で はなく、事実をわかりやすく伝えるよう、冷静な報道をお願いします」という言葉は、まさにがん患者さんがその命をかけ、しかもしっかりと気持ちを持ち、冷 静な立場で声にしたものであります。
我が国のジャーナリズムは、特に医療分野において強大な影響力を持っています。報道が仮にも誤った方向に向かえば、患者さんだけではなく、医療にあたる 現場医師、そして広く国民に混乱と疲弊を与えます。そうなると、本来国民が享受すべき医療の質、生活の質の維持・向上に大きな不利益を生じる事態が懸念さ れます。国民と医療界が一体となって連携し、医療崩壊解決への道を歩むことが求められていますが、ジャーナリズムは国民の歩むべき道を照らす灯となるよ う、強く希望し、善処を求める次第です。

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