医療ガバナンス学会 (2010年11月5日 06:00)
横浜市立大学医学部長(全国医学部長病院長会議会長)
黒岩義之
2010年11月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
今回のがん患者団体の声明にある「臨床試験による有害事象などの報道に関しては、がん患者も含む一般国民の視点を考え、誤解を与えるような過激な報道で はなく、事実をわかりやすく伝えるよう、冷静な報道をお願いします」という言葉は、まさにがん患者さんがその命をかけ、しかもしっかりと気持ちを持ち、冷 静な立場で声にしたものであります。
我が国のジャーナリズムは、特に医療分野において強大な影響力を持っています。報道が仮にも誤った方向に向かえば、患者さんだけではなく、医療にあたる 現場医師、そして広く国民に混乱と疲弊を与えます。そうなると、本来国民が享受すべき医療の質、生活の質の維持・向上に大きな不利益を生じる事態が懸念さ れます。国民と医療界が一体となって連携し、医療崩壊解決への道を歩むことが求められていますが、ジャーナリズムは国民の歩むべき道を照らす灯となるよ う、強く希望し、善処を求める次第です。