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Vol.23028 若手医師がレターに挑戦する意義を考察

医療ガバナンス学会 (2023年2月14日 06:00)


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この原稿は医療タイムス(2023年01月11日)からの転載です。

東京都立小児総合医療センター総合診療科
後期研修医
村田雄基

2023年2月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●「患者にとってよりよい議論は」との視点
私は現在、都内の子ども病院に勤務している小児科医だ。その傍ら、勤務後に医療ガバナンス研究所で論文指導をしていただいている。
現在の主な活動は、医学雑誌に掲載された論文へ議論に投げかける、”レター”に関するものだ。
まずはレターを書く意義について述べたい。通常、医師は抄読会といって、自ら選んだ論文を紹介する勉強会があり、それに参加する方も多い。
読んだ論文を説明という形でアウトプットすることは、自分の頭を整理する上で有用だ。一方、レターの投稿は、その論文に関するテーマをより発展させるべく議論を投げかける。
これには人に説明するための理解だけでは足らず、「対象とする患者にとってよりよい結果をもたらすためにどういった議論が必要か?」といった”視点”が必要だ。
また、レターは参考文献を添えた英作文のみ提出することから、通常の論文作成に必要な費用はかからないこともメリットの1つだ。論理的思考力を鍛えるためにこれ以上に最良な機会はない。

●レター制作に不可欠な指導者
レターを一から書くためには、指導者が不可欠だ。ところが、これを教えることが可能な医師は限られている。
自分は医療ガバナンス研究所で同じくお世話になっている内科医の谷本哲也先生が主催するオンラインでの勉強会などで指導をしていただいている。
まずは指導者を見つけ、今出ている論文から挑戦してみることが書けるようになるための第一歩となる。
この活動を続けた結果、昨年はニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌にレターが3報受理された。1報目は人工膵頭が一型糖尿病に対する血糖コントロール性能において、従来のインスリンポンプと比べて優れているのかを比較した論文だ。
図表・論旨ともに明快で、何か間違えたところを指摘できる要素は1つもなかった。レターの締め切りは紙媒体で出版されてから3週間と短い。

残り1週間から10日のころに、機材でのトラブルによる受診に関するデータのうちオンラインで解決できるものがどれくらいあるかという観点で書き進めていくことになった。その時点で自分にはまだ一型糖尿病の患者を診療した経験はなく、日本でもまだ行われていない治療について議論した。そのため、足りない基礎知識を短期間で補い英作文を進めるのはとても苦労した。これは同研究室に勤務する医師・瀧田盛仁氏に直接ご指導をいただいた。瀧田氏は医療法人社団鉄医会ナビタスクリニック立川や、公益財団法人ときわ会常磐病院に勤務する内科医だ。

●小児科が内科とコラボする大きな意義
小児科が内科とコラボする意義は大きい。小児科は子どものおおむね外科部門を除く内科全般の診療にあたる。
また、近年小児科は移行医療が重要なテーマとなっており、成人の内科との境目にこだわらず議論を進めていく必要がある。
いずれは自分もこういったレター作成を含めた指導ができるようになり、世に必要とされる原著論文を書いていけるようになりたい。そのための基礎体力を養うべく、今後もこの貴重な機会を生かしてトレーニングを積んでいくつもりだ。

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