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Vol.23189 ビッグモーター事件とジャニーズ事件の病根は同じ

医療ガバナンス学会 (2023年10月26日 06:00)


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この原稿は中村祐輔の「これでいいのか日本の医療」(2023年9月8日配信)からの転載です。
https://yusukenakamura.hatenablog.com/entry/2023/09/08/222516

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
理事長 中村祐輔

2023年10月26日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

ビッグモーター事件で大騒ぎしていたと思ったら、今度はジャニーズ事件で大騒ぎだ。まったく異質のように見えているが、病根は一つで、金儲け主義なのだ。ビッグモーター事件は幹部からのトップダウンで、給料がもっと欲しい従業員はその指示をありがたく守った。保険会社も同調した。そして、ありえないような犯罪が起こった。

ジャニーズ事件の主役はジャニー氏であることは否定しようがないが、メディアは紛れもなく犯罪を補助したのだ。ビッグモーター事件と同じで、視聴率を稼ぎ、広告料を稼ぎ、お金を稼ぐためだ。週刊文春が10年以上前に報道し、裁判でも勝っていたが、全く報じなかったにも関わらず、ジャニーズ所属のタレントたちを魔女狩りのようにつるし上げて品性の欠片もない醜さをさらけ出している。記者会見での一部の記者の質問など、反吐が出るような下品さだ。

ジャニー氏の行為を知っていたか、知らなかったのか繰り返して聞いているが、人間一つや二つは墓場まで持っていきたいことはあるのだ。被害を受けて心身が傷ついた人は訴えればいい。言いたくない人の口をこじ開けて語らせる権限など、誰にもないはずだ。絶対的な権限のある人に逆らえばどうなるかは、ロシアを見ていれば誰にでもわかる。それに歯向かえなかった人に罪はあるというのか?繰り返し、愚問を発している自分の醜さがわからなければ、マスコミではなく、まさにマスゴミだ。

ジャニーズ事務所のタレントをテレビコマーシャルから排除する動きもある。タレントに何の罪があるというのか?狂気の国、日本だ。見て見ぬふりをしている人など、世の中にあふれかえっている。企業でも役所でも見て見ぬふりをしなければ生きていくのが難しいのだ。その人たちのどこが悪いのか?みんな悪いことを見つければ、それを指摘し、告発しているというのか?つい最近まで黙って見て見ぬふりをしていた人たちが、見て見ぬふりをしていた(かもしれない)人を大きな声で悪しざまに言う。漫画の世界だ。

ラグビーW杯のキャスターの櫻井翔さんをジャニーズ事務所所属というだけでフランス紙が非難していると報道もあった。ふざけるなと言いたい。彼に何の罪があるのか?欧米は人権を尊重するというが、アフリカやアジア諸国を植民地化していた時代に何をしたのか、説明できるのか?今でも歴然と残る人種差別にどう答えるのか?他国を非難する前に、自国の正義に目を向けよと言いたい。

こんなに大騒ぎにならなければ、被害者の声が届かなかったのは事実だが、日本のメディアが不甲斐ないからだ。今後は、訴えた人と訴えられた会社間で静かに争えばいいと思う。もし、ちゃんと決着がつかなければ、メディアがメディアの役割を果たせばいいだけのことだ。そして、黙っていたい権利も尊重されるべきだ。

魔女の前で沈黙していた人が、集団で魔女狩りをしている滑稽さに、日本人の矜持、日本の武士道はどこへ行ったのか、嘆かずにはいられない。

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