医療ガバナンス学会 (2024年1月19日 09:00)
この原稿はAERA dot.(2023年11月01日配信)からの転載です
https://dot.asahi.com/articles/-/205118?page=1
内科医
山本佳奈
2024年1月19日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
日本を離れた頃は、マスクをすることが当然だった日本でしたが、すっかりマスクなしの日本に戻っていたことに、とても嬉しく思うと同時に、昨年末の出国時はガラガラだった成田空港が、日本人はもちろん、訪日観光客でかなりの混雑だったことに、衝撃を覚えたことは言うまでもありません。
さて、日本への帰国前に耳にし、少々気になっていたのが、日本におけるインフルエンザの流行です。インフルエンザの流行している日本に帰国するというのに、新型コロナウイルスと同日接種しようと予約していたインフルエンザワクチンをキャンセルしてしまい、ワクチン未接種のまま帰国することになってしまったからです。
●アメリカでは36ドル
キャンセルしてしまったのは、まだ医療保険への加入が完了しておらず、インフルエンザワクチン接種に必要な費用は36ドルかかることがわかり、「保険に加入できたら、接種しようかしら……」と思ってしまったからです。その後、帰国することが急遽決まり、接種しておけばよかったと思いながらも日本に帰国し、街に繰り出しては、用事を済ませることになってしまいました。
10月27日に厚生労働省より発表された資料(※1)によると、令和 5 年第 42 週(令和 5 年 10 月 16 日から令和 5 年 10 月 22 日まで)における全国のインフルエンザ定点当たりの報告数は16.41 と前週の11.07 よりも増加したこと、また、これらの報告から、全国の医療機関を受診したインフルエンザの患者数は約54.4万人と推計され、前週の推計値であり約38万人よりも増加傾向にあることがわかったと言います。
滞在中、電車を使用し、観光客の多く集まる所や密集するスポットにも行きましたが、そういった所に行く限りでは、マスクをしている人もいなかったからでしょうか。インフルエンザが流行しているというリアルを感じることはできませんでした。
出歩いたことで、流行しているインフルエンザにかかってしまったとしたら、流行していることを実感できたのかもしれませんが、幸い、日本での滞在中、体調を崩すこともなく、アメリカへ向かう便に乗ることができそうなので、ほっとしています。
●渡航先の健康問題を確認すべき
旅先で体調を崩してしまっては、あらゆる面で大変であること、せっかくの旅が台無しになること、そして体調によっては帰国を延期せざるを得なくなることから、改めて渡航のためのワクチン接種の大切さを、今回の渡航を通じて考え直すことができて、よかったと感じています。
早速、アメリカのドラッグストアでのインフルエンザワクチン接種を予約することができたので、帰国したら必ず接種しに行くことから始めようと思います。
そして、来年は、南米やヨーロッパへの渡航を考えていたこともあり、まずは、渡航したいと思っている国へ渡航するにあたり、アメリカ疾病予防管理センター(CDC※2)が推奨しているワクチンの種類を調べることから旅の計画を立てたいと思っています。
コロナパンデミックが落ち着き、きっと多くの方が海外旅行を計画されていることと思います。CDCのホームページから、渡航予定の国を選択してみてください。渡航先での健康問題や推奨されているワクチンの種類、そしてワクチンでは予防できないが、渡航先で注意すべき健康問題について確認することを、是非ともお薦めしたいと思います。
(参照URL)
※1 https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/new_jmap.html
※2 https://wwwnc.cdc.gov/travel