最新記事一覧

Vol.24027 特許権切れ薬品の薬価について

医療ガバナンス学会 (2024年2月8日 09:00)


■ 関連タグ

一般社団法人医療法務研究協会副理事長
平田二朗

2024年2月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

特許権が切れた薬品は日本の薬価制度ではジェネリックという表現になるが、日本独特の慣習に「先発権」なる扱いがある。

厚生労働省はジェネリック製品「後発品」の定義は「先発品」と同等の成分で同等の効果があるとしている。同等であることをもってジェネリック製品を推奨するだけでなく、処方医や保険調剤薬局に、報奨金とペナルティを付加している。

従来から保険医療機関や医師たちは「後発薬品」に対する根強い不信感があるが、厚生労働省の強烈な推進策によって押し切られた形となっている。

世界的に見ればジェネリック製品は「先発」も「後発」もない。ましてや厚生労働省は「先発」「後発」の効能効果に差はないと断言している。本来効能効果が同じであれば価格に差がつくはずがないのだが、「差」をつけているのは厚生労働省である。

臨床側は「先発品」が「後発品」と同じ価格であれば大半が歓迎する。世界中ではそれが常識だが、なぜか日本だけが「先発権」と称するものが跋扈する。

「先発医薬品」は「後発医薬品」と比べたら構造的に原価が高いのだろうか?バルク末が違う、製造工程が違う、添加剤が違うのであれば、それぞれ原価を明らかにしてもらう必要がある。原価が違うのであれば、厳密には同等品ではない。

一般的に特許権が切れる以前の薬品は「先発品」がその量の100%のシェアを持つ。また特許権の期間中、先発品のみが使われてきているわけだから信頼度も高い。但し特許権が切れれば、後発品メーカーとの競争になる。しかし後発品メーカーとの競争ならば製造体制と製造量、販売に関する顧客の信頼度は圧倒的に先発メーカーが有利のはずである。製造コストも同等品なら「先発メーカー」がコストは安いはずである。なのに先発品に高価格をつける意味が分からない。原価が明らかにされず「薬九層倍」の世界があったのだろうか。「先発」時代にうまみがありすぎたのではないかと疑う。

今回の診療報酬改定で患者や医師が先発品を指定すると、患者負担を増加させると言っている。厚生労働省は自分たちで「先発品」と「後発品」の価格差を作っておいて、差額は「先発品」を選んだ患者に負担させるという。厚生労働省の方々に言う。「論理があっていません」と。自分たちが元々製薬メーカーに忖度してきた薬価制度が生み出した矛盾を患者に押し付けるなど、誰が見ても「無様な姿」でしかない。

そろそろ日本の医療保険制度や薬価制度を見直しませんか?これまでの制度が生み出す矛盾を、解決できない水準に到達しているように思います。

 

MRIC Global

お知らせ

 配信をご希望の方はこちらのフォームに必要事項を記入して登録してください。

 MRICでは配信するメールマガジンへの医療に関わる記事の投稿を歓迎しております。
 投稿をご検討の方は「お問い合わせ」よりご連絡をお願いします。

関連タグ

月別アーカイブ

▲ページトップへ