最新記事一覧

Vol.24102 花粉症が15年ぶりに“再発”した女医が過去を振り返って後悔していることとは?

医療ガバナンス学会 (2024年5月28日 09:00)


■ 関連タグ

この原稿はAERA dot.(2024年3月6日配信)からの転載です
https://dot.asahi.com/articles/-/216128?page=1

内科医
山本佳奈

2024年5月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

日本では、スギ花粉の飛散量がピークを迎えていますね。日本気象協会による全国の週間花粉飛散予測を見ると、飛散量の「非常に多い」日が続いており、その予測を見るだけで、目がしょぼしょぼ、鼻がむずむずしてしまいそうです。

日本国民の約4割(※1)は罹患しているとも言われているスギ花粉。もはや、国民病といっても過言ではありません。

花粉症環境保健マニュアル2022(※2)に引用された、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした鼻アレルギーの全国調査によると、2019年の花粉症の有病率は42.5%。1998年と2008年に実施された同様の調査で、1998年の花粉症の有病率は19.6%, 2008年は29.8%であったことから、花粉症の有病率は増加していることがわかります。

また、今年の2月9日に公開された、ロート製薬株式会社が、0歳から16歳の子どもがいる7131人を対象にアンケート調査を行った結果によると、自分の子どもが「花粉症と診断された」または「花粉症だと思う」と答えた親は42.6%であったといい、これは10年前に行った同様の調査結果の32.7%と比べて、9.9%も増えていたことがわかったといいます。

さらに、このアンケート調査から、発症した年齢の平均は、小学校入学前の平均5.8歳だったこと、小学生の症状の最多は「鼻水(85.5%)」で、ついで「目のかゆみ(67.1%)」であったこと、「授業などの勉強に集中できない」と答えた子どもは全体の約4人に1人にあたる24.9%もいたことがわかり、過半数の53.9%が日常生活で何らかの花粉症の影響があると答えていたこともわかったといいます。

私自身、15年ぶりに花粉症を再発したのが、去年のことです。中高生時代に、ひどいスギ・ヒノキアレルギーに悩まされたものの、ある日突然、花粉の時期になっても症状が一切出なくなったことに気がつき、「花粉症は完治した」と思い込んでいました。

しかし、一昨年末、日本を離れ、サンディエゴにやってきて、日本では悩まされることのなかった、また別の植物の花粉に、私の体は反応するようになってしまったのです。

どうやら、南カリフォルニアでは、一般に、春の樹木アレルギーとして、オリーブ、オーク、プラタナス、クルミ、ユーカリ、桑などが含まれるようです。緑の多い住宅街の一角に住んでいることもあり、私の体は、上記のいずれかの植物に反応してしまっていると思われます。

2年目となった今年も、1月を過ぎた頃から、突然、鼻詰まりによる不眠に悩まされる日が続きました。そこで、抗アレルギー剤の内服を始めたところ、症状が改善されたので、「やっぱり花粉症だったのか」と納得することができました。

幸い、アメリカではドラッグストアで、多くの種類の抗アレルギー薬が販売されており、市販薬の内服と市販の点鼻薬の使用により、クリニックに駆け込むことなく過ごすことができています。アレルギー症状による不眠の症状も改善され、日中の作業効率も断然上がったように感じています。

中高生時代、ひどいスギやヒノキアレルギーに悩んでいた時は、花粉症であることをなんとなく認めたくなかったことに加えて、抗アレルギー薬を飲むと眠気を感じることから、薬を飲むことなく、症状に耐えることで春を乗り切っていたことを覚えています。「我慢なんかすることなく、クリニックを受診して、自分にあった薬を処方してもらえば、もっと楽に春を乗り切れただろうに……」と今更ながら、ちょっぴり後悔しています。
【参照URL】

(※1)https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/kafun/qanda.html

(※2)https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf

 

MRIC Global

お知らせ

 配信をご希望の方はこちらのフォームに必要事項を記入して登録してください。

 MRICでは配信するメールマガジンへの医療に関わる記事の投稿を歓迎しております。
 投稿をご検討の方は「お問い合わせ」よりご連絡をお願いします。

関連タグ

月別アーカイブ

▲ページトップへ