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臨時vol 27 「HCAP体験記 その1」

医療ガバナンス学会 (2006年9月15日 15:41)


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2006年9月15日発行
□■HCAP体験記 その1■□
ハーバード大学数学・物理学科三年
北川 拓也


 

初めまして、ハーバード大学物理・数学科三年の北川 拓也といいます。ひょんなことで3ヶ月ほど前に田中先生と知り合いになり、このコラムを書かせていただけることになりました。この息抜きのコラムでは、今僕がやろうとしているあるプロジェクトのいきさつをリアルタイムでお伝えしたいと思っています。そ
の、あるプロジェクト、というのは、ハーバードと日本の大学、特に東京周辺の大学をつなぐ交流プロジェクトです。まず、そのプロジェクトの説明をする前に僕の簡単な自己紹介と、ハーバード大学に入ることになったいきさつを書かせていただきたいと思います。

やはり日本の高校を出てから直接ハーバードにいく学生というのは少ないので、あまり僕のようなケースは知られていなく、より多くの人に、ハーバードに行くというのはどういうことなのか、ということを知っていただきたい、というのが僕の思いです。

僕は兵庫県に生まれ、小学校のころに親に半強制的に連れて行かれたハワイを除き、高校一年になるまで海外にいったことはありませんでした。小学校の頃はa,b,cも知らず、「へろー」ぐらいが僕の知っている単語でした。その後、灘中学校に進学したのはいいのですが、英語は苦手中の苦手、中学一年、二年の頃は英語の追試ばかりを受けていました。三単元のsや、中毒のように毎日やっていたテニスが、追試を受けるはめになった原因であったように思います。その後、中学三年になり、テニスも三年目を向かえ、そろそろプロのテニスプレーヤーという将来設計を考え直したほうがいいことが明確になったころに宇多田 ヒカルが爆発的に売れ始めました。僕自身、今でもあまり理解できないのですが、なぜ
か「automatic」という歌を歌う宇多田を見て、「アメリカってかっこいい」と思ったのを覚えています。自分の人生設計をし直す、と決めた僕がまず目をつけたのは、昔から好きで読んでいたビルゲイツや孫 正義(ソフトバンク、Yahoo)の自伝でした。ビルゲイツはハーバードを中退しており、孫正義はアメリカの大
学を出ていたので、僕の中で、「やっぱり世界のリーダーになるならアメリカの大学だろ」という短絡的なイメージができたのです。

それと同時に、僕の中での生き方の哲学が少しずつ変わっていっていました。僕はその頃、人間というのは間違った方向に進みやすい存在なのだということを認識し、では正しい人生設計をするにはどのような考え方をすればよいのか、と毎日考えていました。結果、いきついたのは、「自己懐疑」ということでした。人間が間違うのは避けられない。ならば自分の下した決定に対して常に懐疑的になり、より正しいオプションがないか、その決定で自分が後悔しないか、と疑うことにより、限りなく「正しい」生き方に近づくのではないか、と考えたのです。この僕は自分で考えたと思っていた、「自己懐疑主義」というものは確か歴史上の誰かが既に考えていたことなのですが、それを僕の考え方の本筋として採用することが決まったのです。この「自己懐疑主義」に基づき、どのような人生を送るべきか、と考えた際、やはり人生のための「人生」はおかしいのではないか、と思いました。

つまり、10年後のために生きる今年、大学に入るための高校、といった考え方は何か根本的に間違ってるのではないか、と思うようになったのです。もちろん将来のために準備しない人生というのは幸せではありえません。しかし、論理的にいって、自分が今という時間を楽しむことと、将来幸せになることは互いに相反したことではない。つまり、自分が今楽しめ、かつ将来につながるようなことを見つけてやればいい、という結論に達したのです。そして今楽しめないことは即刻やめてしまうべきだ、とも考えました。その考え方をその頃の自分に適応した結果、僕は学校を即刻やめてしまう必要があるのではないか、と考え始めました。

そのころ、勉強、特に試験勉強はあまり楽しめてなかったのです。でもどう考えても、収入もなく、未来も保障されていない僕が高校をいかないというのは現実的ではありませんでした。やっぱり高校は行かせてもらえるなら行った方がいい。僕なりにこのあたりのことを一生懸命考えた結果、「僕が勉強を好きになればいい」ということになりました。それに世の中には各学問のプロフェッショナルというのはたくさんいます。自分の人生をある一つの学問にささげる人たちがいるのだから、勉強というのは面白くないわけがないというのが僕の単純な頭で考えた結論でした。

こうして僕の人生の標語が「勉強を楽しめ!」「アメリカに行こう♪」と決まりました。ここから僕のアメリカへの道が始まったわけです。

今回はここまでです。自分で思い返して書いてみると、いかに僕という人間が、論理で人生を決めているようで、結局思い込みと「のり」と勢いで人生を生きているのかがよくわかります。では、また楽しいコラムを書くのでよろしくお願いします!Keep it cool!
北川 拓也
灘中高卒、ハーバード大学数学・物理学科三年。患者学や医療コンビニのプロジェクトに興味を持ち、それらのお手伝いもさせていただいています。

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