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Vol.24136 坪倉先生の放射線教室(12)海産物からヨウ素を接種

医療ガバナンス学会 (2024年7月17日 09:00)


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この原稿は福島民友新聞『坪倉先生の放射線教室』からの転載です。

福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授
坪倉正治

2024年7月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●セシウム半減、年齢で違い ( https://www.minyu-net.com/news/detail/2023120218363 )

放射性物質は、放射線を外に出しながら、徐々に安定な物質へと変わっていきます。放射性物質から放射線を出す能力が半分になるまでの時間のことを半減期というのでした。

前回は、半減期の長さと身体への影響についておさらいしました。半減期が長いか短いか、だけではどちらが身体に良くないかの判断はできません。長時間でも、時間当たりの被ばくが小さければ、トータルの影響は小さく、逆に短時間でも時間当たりの被ばくが大きければ、トータルの影響は大きくなります。

今回は、半減期についてもう少し細かく復習しましょう。

身体の中に放射性物質が入ってきた場合、内部被ばくが起こるわけですが、それらの放射性物質は、尿や便などから徐々に排出されていきます。この排出されていく速さのことを生物学的半減期と呼び、身体の中に入った放射性物質が半分になるのにかかる時間のことを指します。

例えば、セシウムであれば、成人では約100日、子どもでは約1カ月(30日)、1歳児では約10日で身体の中の取り込まれたセシウムが半分になります。これは身体と放射性物質の関係の話です。

その一方、放射性物質自体は放射線を出しながら、徐々に弱くなっていきます。セシウム134では約2年、セシウム137では約30年が半減期です。これをより正確には物理学的半減期と呼ぶこともあります。

放射性物質は、放射線を外に出しながら、徐々に安定な物質へと変わっていきます。放射性物質から放射線を出す能力が半分になるまでの時間のことを半減期というのでした。

前回は、半減期の長さと身体への影響についておさらいしました。半減期が長いか短いか、だけではどちらが身体に良くないかの判断はできません。長時間でも、時間当たりの被ばくが小さければ、トータルの影響は小さく、逆に短時間でも時間当たりの被ばくが大きければ、トータルの影響は大きくなります。

今回は、半減期についてもう少し細かく復習しましょう。

身体の中に放射性物質が入ってきた場合、内部被ばくが起こるわけですが、それらの放射性物質は、尿や便などから徐々に排出されていきます。この排出されていく速さのことを生物学的半減期と呼び、身体の中に入った放射性物質が半分になるのにかかる時間のことを指します。

例えば、セシウムであれば、成人では約100日、子どもでは約1カ月(30日)、1歳児では約10日で身体の中の取り込まれたセシウムが半分になります。これは身体と放射性物質の関係の話です。

その一方、放射性物質自体は放射線を出しながら、徐々に弱くなっていきます。セシウム134では約2年、セシウム137では約30年が半減期です。これをより正確には物理学的半減期と呼ぶこともあります。
●放射性物質、薬でブロック ( https://www.minyu-net.com/news/detail/2023120918425 )

放射性物質は、放射線を外に出しながら、徐々に安定な物質へと変わっていきます。放射性物質から放射線を出す能力が半分になるまでの時間は、セシウム134では約2年、セシウム137では約30年です。これを「物理学的」半減期と呼ぶのでした。

その一方、身体の中に放射性物質が入ってきた場合、それらの放射性物質は、尿や便などから徐々に排出されていきます。この排出されていく速さのことを「生物学的」半減期と呼び、セシウムであれば、成人では約100日、子どもでは約1カ月で半分になります。これは身体と放射性物質の関係の話でした。

このように、放射性物質は徐々には減っていくものの、放射性物質と何かを混ぜたら、放射線が出なくなるとか、放射性物質自体が消えてしまう、といったような反応を起こすことはできません。そのようなことを言っているものがあれば、それらは全てうそです。

その一方で、放射性物質が身体の中に入らないようにブロックする薬は存在します。一つの例は「安定ヨウ素剤」といわれるものです。放射性ヨウ素が甲状腺に入ってしまう前に、甲状腺を通常のヨウ素でいっぱいにしてしまい、放射性ヨウ素が入ることをブロックするものです。

国内では原発の再稼働が始まっていますが、例えば福井県では、有事に備えて原発の周辺数十キロの範囲に住んでいる方の中で希望者には、この安定ヨウ素剤が配布されています。
●昆布でヨウ素が摂取可能 ( https://www.minyu-net.com/news/detail/2023121618488 )

放射性物質は、放射線を外に出しながら、徐々に安定な物質へと変わっていきます。しかし、放射性物質と何かを混ぜたら、放射線が出なくなるとか、放射性物質自体が消えてしまう。といったような反応を起こすことはできません。

その一方で、放射性物質が身体の中に入らないようにブロックする薬は存在します。一つの例は「安定ヨウ素剤」です。放射性ヨウ素が甲状腺に入ってしまう前に、甲状腺を通常のヨウ素でいっぱいにしてしまい、放射性ヨウ素が入ることをブロックするものでした。

ただ、この薬を飲まなければ、放射性ヨウ素が甲状腺に入るのを全くブロックできないというわけではありません。日本人は海産物を多く食べるため、世界的に見ても多量に「ヨウ素」を摂取しています。

中でも昆布は群を抜いて「ヨウ素」を多く含む食材です。昆布のつくだ煮を大さじ1杯食べれば、成人の1日に必要な量の10倍以上の「ヨウ素」が含まれます。また500ミリリットルのスポーツドリンクやインスタントうどんには、1日に必要な量の半分、十六茶にはスポーツドリンク以上の「ヨウ素」が含まれます。それぞれの材料に昆布が使われるためです。

これらのことは、震災当時から甲状腺内には常に(通常の)「ヨウ素」が十分にあったこと。そして、原発事故直後に放出された「放射性ヨウ素」が甲状腺に入り込む隙を奪い、「放射性ヨウ素」による甲状腺の被ばくに対して防御的であったということを意味しています。
●放射性ヨウ素、医療使用も ( https://www.minyu-net.com/news/detail/2023122318549 )

日本人は海産物を多く食べるため、世界的に見ても多量に「ヨウ素」を摂取しています。私たちが日常的に「ヨウ素」を摂取していることは、震災当時から甲状腺内には常に(通常の)「ヨウ素」が十分にあったこと。そして、原発事故直後に放出された「放射性ヨウ素」が甲状腺に入り込む隙を奪い、「放射性ヨウ素」による甲状腺の被ばくに対して防御的であったということを意味しているのでした。

ここで出てくる「放射性ヨウ素」ですが、原発事故の際だけに登場する物質ではありません。実は甲状腺がんの治療の一つとして使われることがあります。治療のために体内に「放射性ヨウ素」が投与されると、身体の中の甲状腺がんがある場所に集まります。そこで放射線を出して、がん細胞を治療してくれるのです。

病院で「放射性ヨウ素」が治療に用いられる際には、体内に投与された後、身体の外に放射性ヨウ素が十分排出されて、問題のない状態になってから、退院となります。

ただ、言い方を変えれば、体内の放射性ヨウ素が完全にゼロになるまで待ってから退院というわけではありません。原発事故から数年たった後、内部被ばく検査で微量の放射性ヨウ素が検出されたことがありました。もちろん、半減期としても原発事故の影響ではありません。放射性ヨウ素を用いた甲状腺がんの治療をされて、退院した直後に内部被ばく検査を受けたからだったということがありました。

 

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