医療ガバナンス学会 (2024年12月16日 09:00)
この原稿はAERA dot.(2024年10月16日配信)からの転載です
https://dot.asahi.com/articles/-/236963
内科医
山本佳奈
2024年12月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
気温差が大きくなると体調を崩しがちですが、風邪をひくまいと気合いを入れて体調を整え、10月初旬に新型コロナウイルスワクチン(COVID-19ワクチン)とインフルエンザワクチンのワクチンを接種してきました。COVID-19ワクチン接種は1年ぶり、インフルエンザワクチンは2年ぶりの接種となりました。
昨年はまだ医療保険に未加入だったこともあり、COVID-19ワクチンのみ接種した私。というのも、昨年は「ブリッジアクセスプログラム(※1) 」という2,500万~3,000万人いると推定されている無保険、または十分な保険に加入していないアメリカに住む成人が引き続き無償のCOVID-19ワクチン接種を受けられるようにするために疾病予防管理センター(CDC)が提供したプログラムのおかげで、ありがたいことに無料でCOVID-19ワクチンを接種することができたからです。
アメリカでは診療所やクリニックだけでなく、ドラッグストアでもワクチン接種を受けることが可能です。そこで、昨年は、アクセスの良かった近所の大手ドラッグストアで接種することにしました。予約もインターネットで簡単に取得することができ、当日も待ち時間なし、接種後の待機時間もなく、あっという間の接種終了に驚いたことを覚えています。ちなみに、インフルエンザワクチンは30ドルだったと思うのですが、悩んだ末に接種は諦めてしまったのでした。
●加入した保険でワクチン代が無料に
今年はというと、年度はじめに医療保険に加入することができていたこともあり、加入している医療保険が運営しているクリニックでCOVID-19ワクチンを接種することにしました。医療保険が接種料を全額負担してくれるため、COVID-19ワクチンもインフルエンザワクチンも無料で接種することが可能だったからです。
ちなみに、昨年はブリッジアクセスのおかげで無保険だった私も、COVID-19ワクチンを無料で接種できましたが、今年は、無保険や保険に加入していてもワクチン代が負担されないプランの場合、$201.99(※2) ものコストがかかるようです。
さて、医療保険を使ってCOVID-19ワクチンを接種するために、医療保険のホームページに進み、予約を取得することにしました。マイページ内に表示されている「COVID-19 vaccine」をクリックすると、COVID-19ワクチンに関するページに進むことができ、クリニックの場所と日程を選択するだけで予約が完了するという簡単な仕組みでした。
簡単に予約が取れたことから、せっかくなら「インフルのワクチンも予約しよう」と思いたち、「Flu Shots」と検索すると、「no appointment needed」と書かれているではありませんか。予約が必須だと思い込んでいた私は、自分の都合のいい時に、クリニックが空いている時間に直接クリニックに行くだけでいいというシステムに、今年一番驚いたかもしれません。何度もクリニックに行くのは面倒だと思った私は、COVID-19ワクチンと同日接種をすることにしました。
●問診表2枚書いてあっという間に終了
インフルエンザワクチン予約の必要がないことに少々の不安を抱えながらも、予約当日を迎えました。COVID-19ワクチン接種の際に、受付で「インフルエンザワクチンも接種したい」と伝えたところ、「じゃあ問診を2枚書いてね」とCOVID-19ワクチン用とインフルエンザワクチン用の2枚の問診票を渡されました。同じ日に接種できることに安堵し、問診を記入すると、奥の接種を待つブースへと進むように指示されました。予約者優先なようで、すぐに接種ブースへと案内され、あっという間に接種が終わってしまいました。
接種してくださった方によると「昨日は予約なしの方がとても多くて、混んでいたよ。今日は空いているから、君はラッキーだね」とのこと。日本のように待機を指示されることもなく、あっさり帰宅することになりました。3日ほど接種したあたりの腕の軽い痛みが続きましたが、熱が出ることもなく、大きな副作用もなく、普段通りの生活をすることができました。
●接種記録はなんて便利!
「そういえば、接種記録をもらっていないなあ。」と気づき、後日、加入している医療保険のホームページに訪問してみることにしました。マイページ内で「記録(Records)」と書かれたページに進み、「COVID-19」を選択すると、「COVID-19 mRNA, PF, 12yrs-adult (Pfizer), 30 mcg/0.3mL」を接種したことが記載されたページを発見することができました。
必要があれば、PDFで接種記録をダウンロードすることが可能なだけでなく、なんと、QRコードを取得すれば、それを使用して接種に関する情報を共有することも可能な仕組みになっていました。なんて便利なのでしょう。
さらに驚くことに、昨年ドラッグストアでCOVID-19ワクチンを接種したことも、しっかりと記録されていたのです。実は、昨年紙で渡されたCOVID-19ワクチン接種記録を紛失してしまっていたこともあり、データが共有されていることにびっくりする以上に、「記録が残っていて良かった!」と安堵したのでした。
ハロウィンが終われば、感謝祭やクリスマスとアメリカはホリデーシーズンに入ります。家族や親しい友人と過ごす時間が増える時期に入る前に、大きな問題もなくワクチン接種を済ませることができ、ホッとしている今日この頃です。
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