最新記事一覧

Vol.24240 坪倉先生の放射線教室(22) 高レベル放射性廃棄物の地層処分

医療ガバナンス学会 (2024年12月24日 09:00)


■ 関連タグ

この原稿は福島民友新聞『坪倉先生の放射線教室』からの転載です。

福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授
坪倉正治

2024年12月24日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●地域個別のデータも調査 ( https://www.minyu-net.com/news/detail/2024062220809 )24年6月22日配信

高レベル放射性廃棄物は、数万年以上の長期保存が必要なため、300メートル以上の地下深い場所で「地層処分」することが、現実的な処分法であると考えられています。最終的に地層処分する場所が決まっていないわが国において、処分地の選び方は、文献調査、概要調査、精密調査と呼ばれる、3段階のプロセスを踏まなければならないことが法律によって定められています。

前回は、一つ目の文献調査のための「科学的特性マップ」を紹介しました。これは、既存の全国データを使って、地層処分に関係する好ましい条件と、好ましくない条件に基づいて、地域を色分けした「全国」地図です。

この全国のデータに加えて、「地域」の個別の細かいデータも調べられます。地域のデータから、火山活動・断層活動・鉱物資源の有無などが調べられ、処分場として明らかに適切ではないところを除外する作業が行われます。

このようなプロセスを経て、二つ目の段階である概要調査(現地でのボーリング調査)に進むかが決められます。

ただ、このように、自治体からの応募または、国からの申し入れで始まる文献調査において、地層のデータが調べられて、処分地に適切そうであれば、勝手に2段階目の概要調査に進むわけにはいきません。このプロセスを進める上において、その地元の方々の意見を聞く場を設けながら進まなければならないことが法律で定められています。
●レーダー使い地質を調査 ( https://www.minyu-net.com/news/detail/2024062921003 )24年6月29日配信

高レベル放射性廃棄物は、数万年以上の長期保存が必要なため、300メートル以上の地下深い場所で「地層処分」することが、現実的な処分法であると考えられています。最終的に地層処分する場所が決まっていないわが国において、処分地の選び方は、文献調査、概要調査、精密調査と呼ばれる、3段階のプロセスを踏まなければならないことが法律によって定められています。

一つ目の文献調査では全国地図と、地域の個別の細かいデータから、処分場として明らかに適切ではない所を除外する作業が行われ、その後の二つ目の段階である概要調査に進むかが決められます。

概要調査は簡単にはボーリング調査です。加えて、レーダーのようなものを使って、地質の構造や地質の性状を間接的に調べたり、温泉や湧き水・地下水(井戸)の性状を調べたりします。法律には〈1〉地震などの自然現象によって、地層の著しい変動が長期間生じていないこと〈2〉坑道の掘削に支障がないこと〈3〉活断層や岩石の割れ目、地下水の水流などが地下施設に影響を与える恐れが少ないと見込まれることなどーを確認することが定められています。

一つ目の文献調査から二つ目の概要調査に進むには、知事および市町村長の同意が必要となりますが、現状の日本で二つ目の概要調査に進んだ例はありません。

 

MRIC Global

お知らせ

 配信をご希望の方はこちらのフォームに必要事項を記入して登録してください。

 MRICでは配信するメールマガジンへの医療に関わる記事の投稿を歓迎しております。
 投稿をご検討の方は「お問い合わせ」よりご連絡をお願いします。

関連タグ

月別アーカイブ

▲ページトップへ