最新記事一覧

Vol.24239 トイレが血液で真っ赤に!20代から「痔」の女医が再発させてしまった生活習慣の変化

医療ガバナンス学会 (2024年12月23日 09:00)


■ 関連タグ

この原稿はAERA dot.(2024年10月30日配信)からの転載です
https://dot.asahi.com/articles/-/238531?page=1

内科医
山本佳奈

2024年12月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

私ごとですが、最近「痔」を再発しました。ある日の朝、いつも通り排便をしたところ、トイレの便器が血液で真っ赤に染まったのです。その光景を見て、「また痔だ……」と気がついたのでした。

実は、私はもうかれこれ7年ほど前から「痔」と付き合っています。メイヨークリニック(※1)によると、50歳までに成人の約半数が痔に悩まされることになると推定されているといいます。今回は、なかなか相談しにくい「痔」についてお話ししたいと思います。

痔は、肛門疾患の中でもよく見かけられる疾患の一つです。アメリカ(※2) では、外来診療でみられる胃腸疾患の中で3番目に多いのが痔であり、年間400万人近くが痔の症状を訴えて診療所や救急外来を受診しているといいます。

痔は、大きく3つの種類に分けられています。一つ目は、痔の中で最も多いとされている「いぼ痔(痔核)」です。肛門にいぼができるものを指し、直腸と肛門の皮膚部分との境目である歯状線より上にできるものを内痔核、歯状線より下の肛門上皮にできるものを外痔核と分類しています。

二つ目は切れ痔(裂肛)です。歯状線より下にある肛門上皮が切れた状態のことを意味し、痛みが強く治りにくいため、悪化しやすいといわれています。三つ目は、痔ろうです。肛門周囲に膿がたまった状態が進み、膿が外に出てトンネルができた状態になると痔ろうと呼ばれるようになります。

痔の症状(※3) としては、出血、いぼの脱出、腫れ、分泌物、痛みなどが挙げられます。痔からの出血の特徴は、排便時の「ほとばしるような」もしくは「ポタポタ落ちるような」出血であり、鮮やかな赤色を呈することが特徴です。

内痔核は基本的に痛みを感じることはありませんが、外痔核では痛みを感じ、悪化すると血栓ができ激しい痛みを催すようになります。切れ痔の場合、排便時に強い痛みとトイレットペーパーに付着する程度の出血を認め、痔ろうの場合、化膿していることによるズキズキした痛みや発熱を認めることが多いとされています。
●大量の出血はあるものの痛みはナシ

私の場合、便器の中が真っ赤な血液で覆われてしまうほどの出血を認めますが、痛みは全くありません。そのため、「内痔核」であると考えられます。初めて便器が真っ赤になったときは、あまりの光景にびっくりし、何事かと思い肛門科に駆け込んでしまったほどでした。受診した肛門科のドクターに「痔だね」と言われ、ホッとすると同時に「20代で痔だなんて……」とがっかりしたことを覚えています。

幸い、ずっと痔で悩まされることはなく、頻度も年に2回程度です。挿入する軟膏を常備しておき、症状が出たら軟膏の注入で対処しています。しかし、今回の痔はいつも以上に便器が真っ赤になるような有り様で、トイレットペーパーでお尻を拭いても拭いても、真っ赤な血がつくのです。普段よりはるかに多い出血量の多さに、「このまま続いたらどうしよう」と心配になりましたが、幸い1週間程度で落ち着いたので、病院に駆け込まずに済みました。

痔になる主な原因(※4) は、慢性便秘、下痢または長時間のいきみ、妊娠、ウェイトリフティング、加齢や遺伝による支持組織の弱化などが挙げられます。他に(※5) も、座りっぱなしや同じ姿勢、しゃがみっぱなしの姿勢も肛門に負担がかかるため、あまり良くないと考えられています。

私の場合、便秘がちではないものの、便秘になることがたまにあり、そのときはいきんで排便してしまっています。また、日本では電車移動だったため、家から駅、駅から目的地までたくさん歩いていましたが、アメリカでは移動手段が車です。そのため、自宅から目的地まで、ずっと座ったままの状態が続きます。

普段の生活ではどうかというと、長時間同じ姿勢で座ってパソコンに向かって作業をしています。体をしっかり動かすのは、ジムで汗を流すときだけと言っても過言ではありません。さらに、お風呂に入る習慣がなくなってしまったため、湯船に浸かってリラックスすることや、体をほぐして血流を良くすることがここ2年ほど全くできていません。

そんな生活習慣がたたり、今回は今まで以上に出血を認め、痔の症状が長引いてしまったのかもしれません。また痔を再発しないようにするためにも、頻繁に立ったり座ったりすることで、お尻の負担を減らしてあげようと思います。

【参照URL】

(※1)https://www.mayoclinic.org/medical-professionals/digestive-diseases/news/hemorrhoidal-disease-diagnosis-and-management/mac-20430067

(※2)https://www.cghjournal.org/article/S1542-3565(18)30275-1/fulltext

(※3)https://www.coloproctology.gr.jp/modules/citizen/index.php?content_id=22

(※4)https://www.mayoclinic.org/medical-professionals/digestive-diseases/news/hemorrhoidal-disease-diagnosis-and-management/mac-20430067

(※5)https://www.borraginol.com/borralab/prevention/various/various002.html

MRIC Global

お知らせ

 配信をご希望の方はこちらのフォームに必要事項を記入して登録してください。

 MRICでは配信するメールマガジンへの医療に関わる記事の投稿を歓迎しております。
 投稿をご検討の方は「お問い合わせ」よりご連絡をお願いします。

関連タグ

月別アーカイブ

▲ページトップへ