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Vol.81 震災避難者に人間らしい生活を: ホテルや旅館で宿泊を

医療ガバナンス学会 (2011年3月23日 15:45)


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五反田 美彩 (日本大学法学部・地震医療ネットワーク事務局)
2011年3月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


1 初めに
現在、被災地からの患者搬送に関するお手伝いをさせていただいている22才の大学生です。今回の被災者受け入れについて疑問に思うことが多くありましたので、多くの方の意見を頂ければと思い、この場を借りる運びになりました。

2 被災地からの搬送の現状
東北地方太平洋沖地震が発生してからすでに1週間以上が経ちますが、その間に被災地から被災地外へ患者さんとそのご家族の方が多く搬送されているようです。患者さんとそのご家族の方の宿泊先は、受入れ先となる自治体や病院の対応により随分と異なります。
具体的に言えば、福島県から透析患者を受け入れた某県であれば体育館に雑魚寝という、プライバシーがほとんどない、避難所での生活と実質的には変わらな いような対応となっています。これに対し、千葉県鴨川市の亀田総合病院が患者を受け入れた場合には、鴨川市のかんぽの宿という温泉街の宿に泊まれたケース もあります。
被災者の方の間で、このような雲泥の差が生じることは、本来あってはならないことだと思います。

3 行政の対応
この点については政府の方でも対策を講じているようで、3月22付の朝日新聞朝刊によって、災害救助法の適用によって1人当たり1泊3食付き5,000 円までの宿泊費と移動費は国費で負担されるということが報道されていました。ただ、現段階で決まっているのはここまでのようです。これだけでは受け入れ側 も、患者さん側も非常に制度の利用がしにくい状態にあると思います。

政府はもっと詳細な情報を発信すべきではないでしょうか。
制度として明確にすべき点を下記の通りまとめました。

1) 法律はいつまで適用されるのか
期間が決まらないと患者さんが不安に思います。

2) 宿泊費の支払い先は国になるのか
被災者へ請求されるのでは安心して制度を利用できません。

3) 宿泊費はいつ支払われるのか、金額は保証されるのか
受入側も宿泊費が保証されない状況では受け入れに躊躇してしまいます。

4) 災害救済法の適用対象となる被災者の認定はどのような基準でされるのか
基準が明確でないと、利用する側も受け入れる側も不安です。

5) 受け入れの優先順位はどうするのか
優先順位が明確でないと早い者勝ちになってしまい、本当に必要な被災者が利用できません。

以上のような内容を明確にしなければ、援助をしたいと思う受け入れ先があっても、具体的に動くことが難しいのではないでしょうか。受け入れる側が躊躇し 対応が遅くなれば多くの人の命が失われます。せっかくたくさんの人が援助したいという思いを持っているのに、制度が不十分なばかりに多くの人の命が失われ るのは残念でなりません。
災害救助法を適用するならするで、もっと明確に運用して貰いたいです! 今後政府はどのように動くべきなのか、多くの方の意見を伺えれば幸いです。

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