医療ガバナンス学会 (2011年3月23日 06:00)
― 「医療」から「介護」へ、「東日本」から「西日本」へ-
長尾クリニック(尼崎市) 長尾和宏
2011年3月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
今後、「避難者支援」と「疎開者支援」の2方面から、戦略を練るべきだ。
「避難者支援」の需要は、医療のみならず、介護に重点が移ってきた。
特に、取り残された老健や特養への、早急な支援が求められている。
もちろん、介護のみならず医療の両面からの支援が必要だ。
ここで、在宅療養でのキーワード「多職種連携」が活きてくるはず。
「避難者支援」には、医薬品や生活必需品などの確実な集配ルートを早急に構築すべきである。集約化も必要だ。
これは、地元の民間ボランテイアと、医師会、看護協会、薬剤師会等が全面的に協力すべきだ。
「疎開者支援」には、受け入れ可能施設のリストアップとマッチングが急務だ。
問題は移送手段と費用負担だ。確実な団体の確実な支援実績には、行政が後日必ず資金援助を行う旨との確約をして頂くと、民間は動きやすくなる。
東北から関東への透析患者さんなどの患者移送が大きな成果を上げており、関係者のご尽力に敬意を表する。
停電や断水の中、受け入れておられる関係者の御努力には頭が下がるばかりだ。
ただ今後は、東北電力、東京電力圏外への移送も進めるべきだ。
すなわち、「西日本」という大きな受け皿を活用すべきであろう。
今こそ、「西日本」が「東日本」を助ける、というイメージを持つべきだと思う。
近畿、中国、四国、九州への移送には、大型客船も活用すべきではないか。
医師、看護師、薬剤師、ヘルパーが乗り込めばいい。
いずれにせよ、「現地支援」と「疎開支援」のどちらにおいても、「地域」における、「医療」と「介護」の「多職種連携」が、必須と考える。
ざらに現在の需要は、「慢性期医療」にシフトしている。
日本の疾病構造とどこか似た構図にも思える。
「疎開」先として、既存の介護施設のみならず、個人宅へのホームステイのような
形態も想定すべきだ。優良高専賃や空いた公営住宅なども然り。
すなわち、医療面では今こそ「在宅医療」と「慢性期病院」の出番であり、両者の連携を活発に行い、「疎開」患者さんを支えるべきだろう。
「在宅療養」というキーワードで着実に構築されつつある、各「地域」での取り組みに期待したい。私は地元・尼崎でこれを実践して行きたい。
今こそ、医師会、看護協会、薬剤師会が「協働」すべき時だ。
それは、長期的視野でみると、「地域包括ケア」の「実践」とも言えるだろう。
長尾和宏
尼崎市昭和通7-242 長尾クリニック
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