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Vol.25014 アメリカで【子宮頸がん検診】女医が驚いたこと「早朝受診」「翌日メールで結果」

医療ガバナンス学会 (2025年1月24日 09:00)


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この原稿はAERA dot.(2024年11月13日配信)からの転載です
https://dot.asahi.com/articles/-/240041?page=1

内科医
山本佳奈

2025年1月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

先月中旬、アメリカの医療機関で子宮頸がん検診を受診してきました。母親が「子宮筋腫」を患ったこと、そして親友が「子宮頸部異形成」という子宮頸がんの前がん病変を指摘されたこともあり、婦人科検診だけは受診案内のハガキが来るたびに欠かさず受診していたのですが、日本を離れてからというもの、婦人科検診への受診を促すハガキが届かないこともあり、すっかり失念してしまっていた私。そのため、実に2年ぶりの検診となりました。

今回は、アメリカの医療機関での子宮頸がん検診の様子を報告したいと思います。

検診を受診したきっかけは、今季のインフルエンザワクチンとCOVID-19ワクチン(新型コロナウイルスワクチン)を受けたことにあります。ワクチン接種の予約方法を調べようと、初めて加入先の医療保険会社のホームーページを訪問したところ、「あなたの予防ケアの取り組み」の中に「子宮頸がん検診」と書かれていたのを見つけたのです。

加入している米国の医療保険は1年ごとに更新のようで、「更新前の2月、3月あたりは、駆け込みの受診が増える。だから、予約もとても取りにくいし、とても混むんだよ」という夫のアドバイスを受け、さっそく電話で予約をとることにしました。

「子宮頸がん検診を受けたい」と伝えると、まず聞かれたのは、女性と男性のドクターのどちらを希望するかという質問でした。「可能であれば、女性ドクターを希望したい」と伝えたところ、なんと、女性のドクターの検診は来年の1月まで予約でいっぱいだというのです。

「男性のドクターなら、あなたの家から一番近い病院で、2週間後には受診可能」ということで、なるべく早く検診を受けたかった私は、男性ドクターを希望することにしました。

●朝7時から受診可能

驚いたのは、早朝から検診を受けられたことでした。「朝がいいわ」と伝えると、「朝だったら、午前7時、7時15分、7時半、8時、8時10分はどうかしら」と想像以上に朝早くから受診可能だというではありませんか。

「そんなに早くから仕事をしているの!?」とびっくりしながらも、「朝早い時間の方が、待ち時間が少ないに違いない」と思い、午前8時を選択することにしました。

電話の予約だけでは予約が取得できていたのか不安でしたが、数時間後に予約が完了したというメールが送られてきたことに加え、受診に関するハガキやメールも届いたので、ひとまず安心。しかし、検診が近づくにつれ、「もし、がんだったらどうしよう……」と不安な思いが募ってきたのでした。

当日は、自宅でオンラインチェックインを済ませていたので、そのまま待合室へ直行することができました。朝の8時前にもかかわらず、8人ほどがすでに待合室で待っていました。私も空いている席に座り、待つこと15分。

担当の看護師さんに名前を呼ばれたので、診察室に入ると、本人確認から始まり、検査内容の確認や過去の検診歴や結果などを詳しく問診されました。そして、今回行うHPV(ヒトパピローマウイルス)テストとパップスメアテスト(Pap smear;子宮頸部細胞診)の説明を聞き終えたところで、下着を脱いで、病衣に着替えて待つように指示されたのでした。

待つこと10分ほどで、担当のドクターが入ってきました。テストに関する説明を再度聞き、検査の準備を始めていくことになりました。男性のドクターだったからかもしれませんが、「不快なことなどあれば、すぐに伝えてほしい」と、とても丁重に話してくださる姿勢に、検査に対する不安は少し和らいだような気がしました。

診察室には、日本の婦人科でよく見かける内診台はありません。一見、普通の医療用ベッドが1台あるだけです。仰向けに寝転んだ後に、診察台の下のほうから足を乗せるための足台が出てくる仕組みで、自然と膝が曲がりリラックスすることができます。

「さあ、検査を始めましょう」と道具や器具の説明をしながら、検査はどんどん進んでいきます。普通のベッドのおかげか、羞恥心を感じることもなく、深呼吸をしているうちに検査は終了。検査の内容や今後のスケジュールなどが書かれた紙を渡され、医療保険での全額負担のおかげで支払いもなく、帰宅となりました。

●翌日検査結果のメールが

翌日、「検査結果が出ました」というメールが届きました。早速ホームページに行ってみると、HPVテストの結果が届いているではありませんか。結果がすぐ届いたことに驚きながら、結果を読み進めてみると、「HPV 16型とHPV 18型は陰性。他のハイリスクHPV遺伝子型が陽性。次のステップ:パップテストは保留中であり、結果はまだ完了していません。今後、数週間以内に医師の診察室から連絡があり、結果や必要な追加のフォローアップについて話し合う予定です。」と書かれていたのでした。

19歳の夏に4価のHPVワクチンを接種していた私は、最も子宮頸がんの原因となりやすいHPV 16型とHPV 18型は陰性であったことに安堵しつつも、パップテスト(子宮頸部細胞診)の結果が届くまで、不安な日々を過ごすことになりました。

結果が出たことを伝えるメールが届いたのは、検査を実施した日から2週間が経過した頃でした。思ったより結果が届くのが遅かったこともあり、不安が最高潮に達していた私は、「最近のパップスミアの結果が、正常であったことをお知らせできることをうれしく思います」という文章を読み、とても安堵したことを覚えています。

日本の場合、1週間後にまた医療機関を受診して検査結果を聞くことが一般的なので、結果を聞くためだけに医療機関を受診する必要がないことは、とても便利なシステムだと感じました。

もちろん、パップスミアの結果が陽性であれば、すぐにでも受診する必要があったわけですが、都合のいい時に落ち着いて結果を知ることができることは、私にとってはとてもありがたいと感じたのでした。

幸いにも、現時点でフォローアップすることはなく、今年度の検診は終了。(他のハイリスクHPV遺伝子型が陽性だったことから)来年も検診を受けるようにという指示があったので、忘れないように、来年のスケジュールに「子宮頸がん検診」と記入しておくことにしました。受けるたびに不安になることに変わりはありませんが、早期発見・早期治療につながるように、受診を続けたいと思います。

 

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