医療ガバナンス学会 (2025年3月24日 09:00)
私が絵を描き続ける理由
相馬中央病院
立谷陽介
2025年3月24日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
私が勤務する相馬中央病院には様々な患者が来られます。医師として12年となりますが、常に病気に関する新しい知見、技術を磨いていなければ臨床の現場では役立たずの烙印を押されてしまいます。特に感染症は新型コロナウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎など常に新しい情報、対策を考える必要があります。病院でもカンファレンスで常に議論が行われています。
仕事でストレスを抱える患者も多く、悩みを傾聴することを心がけています。患者と打ち解けることは時間を要します。礼儀をしっかりとすることにより、信頼を得ていく姿勢を大切にします。病気を治すことよりも常に患者に寄り添う気持ちで診療にあたります。
「患者にとって良医となるために、様々な試練を乗り越える覚悟です」と口にするのは簡単ですがなかなかこれらを実践できずにいるのが現状です。院長先生に甘えてしまうことも多く、まだまだ課題はたくさん残ります。
一方、挑戦していることがあります。幼少時から取り組んできている絵画によるセラピーです。世界中の風景を独自の色彩感覚で描いた作品が観てくださる方に驚きと喜びを与えるようで、絵を描くことで皆に元気を与えようと、休日は筆を執り作品づくりに没頭しています。
私は赤い色が好きで、この色を使うとどんなに疲れた時でも元気が湧いてきます。今生きていることの喜びを情熱を込めて絵を描きます。またデッサンは儚さを込めます。儚い線と情熱の赤の組み合わせは私の人生そのものです。嬉しいことに絵画展に入賞し、ファンも増え美術雑誌に取り上げられることも多くなりました。SNSでも好評で、明るい気持ちになったと世界中からメッセージが届くようになりました。
フランスの人気アート誌République des Artsにも掲載され、日仏文化交流芸術祭に参加のお誘いも頂き、海外でも感動を伝えられればと思っております。
初めてギャラリーを借りて展覧会を開いたとき、カナダ人の男性が私の雀の絵を見て「なんてかわいい鳥なんだ。君は有名になるよ。」と言われたことがあります。絵は国境を越えて届くと実感したのを覚えています。
また気持ちが落ち込んで不登校になっている女子中学生に絵のポストカードを見せたところ、「勇気が湧きました。」と元気な顔を見せてもらったのもいい思い出です。
私が絵を学んだ相馬絵画教室で、子供たちに絵を教えたこともあります。教えるというよりは一緒になって作品を作るという感じで、みんなが知っている動物の絵を想像で描いてみましょうというテーマで行ったのですが、子供たちがどんどん集中していく姿が自分の勉強にもなりました。絵で人と人との繋がりができることも素晴らしいことだと思います。悩める人は絵を描いてみるのもよいと考えています。新しい世界が待っているでしょう。
私はアートによっても患者を支えようと今後も展覧会など開いていくつもりです。
今年は上野の森美術館で展覧会を開催いたします。
会期 2025年 4月10日(木)~4月13日(日)10:00~17:00
(最終日は10:00~15:00まで)
会場 上野の森美術館 東京都台東区上野公園1-2
鬱屈した現代社会に癒しの祈りを込めた作品が皆様の心に響けば幸いです。
これからも福島県相馬市で明るい医療と絵画をお届けいたします。
長文失礼いたしました。