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Vol.25064 坪倉先生の放射線教室(20) 高レベル放射性廃棄物

医療ガバナンス学会 (2025年4月9日 09:00)


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この原稿は福島民友新聞『坪倉先生の放射線教室』からの転載です。

福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授
坪倉正治

2025年4月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●精密調査、地下に施設建設 ( https://www.minyu-net.com/news/detail/2024070624691 )24年7月6日配信

高レベル放射性廃棄物は、数万年以上の長期保存が必要なため、300メートル以上の地下深い場所で「地層処分」することが、現実的な処分法であると考えられています。最終的に地層処分する場所が決まっていないわが国において、処分地の選び方は、文献調査、概要調査、精密調査と呼ばれる、3段階のプロセスを踏まなければならないことが法律によって定められています。

二つ目の概要調査は簡単にはボーリング調査でした。加えて、レーダーのようなものを使って、地質の構造や地質の性状を間接的に調べたり、温泉や湧水・地下水(井戸)の性状を調べたりするものでした。

そして、三つ目で最終の精密調査では、地下に調査施設を造ります。ボーリング調査やレーダーのようなものを使った「地表」からの調査に加えて、実際に「地下」に調査施設・調査トンネルを設けて、岩盤や地下水によって、施設が圧力を受けたり、腐食したりしないかを調べることを行います。

とはいえ、一つ目の文献調査は、日本国内のいくつかの場所で進められていますが、現状の日本で二つ目の概要調査に進んだ例はないため、三つ目の精密調査に進んだ例もありません。

 

●ウラン鉱床、過去日本にも ( https://www.minyu-net.com/news/detail/2024071324848 )24年7月13日配信

原子炉で発電するために使用される核燃料は、ウランやプルトニウムからできています。これまで紹介してきた高レベル放射性廃棄物は、使用済み燃料を処理する際に生じるものでした。使用済み燃料から、再利用可能なウランやプルトニウムを取り除き、残った放射能レベルの高い廃液を、高温のガラスと混ぜて固体化したもののことを呼びます。

この燃料に使われるウランは、地球上の地殻や海水中に広く存在しています。主なウラン資源国として、オーストラリア、カザフスタン、カナダ、南アフリカ、アメリカなどが知られています。

その一方、日本でもいくつかの鉱床が知られています。鳥取県と岡山県の県境にある人形峠鉱床や、岐阜県土岐市周辺の東濃鉱床が有名です。しかし、現在は採掘されていません。そのため、現在日本国内の原子力発電所で用いられるウランは、その全量が日本国外から輸入されています。

2011年の原発事故の後、内部被ばく検査が各地で行われました。県内では南相馬市で最初の内部被ばく検査が開始されましたが、その際に用いられた最初のホールボディーカウンターは、この人形峠からやってきたバス車載型のものでした。

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