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Vol.101 被災地の健康運動支援

医療ガバナンス学会 (2011年4月4日 06:00)


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被災地の健康運動支援
東北大学大学院教授
永富良一
2011年4月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


私たちは常に大規模災害時には避難者のうち特に高齢者において廃用症候群(筋肉減少症・生活不活発病はほぼ同義)が起こりやすくなるから、少しでもよいから体を動かすことを地域住民に伝えておりました。
震災直後から町内会、教員が中心になり多くの仙台市内の避難所においてラジオ体操をはじめなんらかの運動を行ってくれていました。昨日は県南に行きまし たが、こちらでも高齢者の健康運動サークル員が多くの仲間を失い、また自分の家を失いながらも、生き残った仲間を応援してくれています。厚生労働省の 3/18付けで、震災時の被災地住民の健康に関して声明を出しており、エコノミークラス症候群、廃用症候群に関する注意喚起をしてくれています。
震災後3週間たち、現在の問題は、家族・家・仕事を失い気力を失った人の中にはやはり日中も体を動かさずにいる人たちがそれほど多くないにしてもいるこ とです。やむを得ないことと思いますが、このような人たちに運動の生理学的効果以前に少しでも元気になってくれるためのコミュニケーションが必要とされて います。もちろん運動は一つのツールであり、運動を通してそれまで無関心だった人が笑顔を見せてくれたり一緒に手を取り合って立ち上がってくれることもあ ります。

私たちは先週からこのような方々や健康運動指導士、理学療法士、体育指導員など有資格者で支援にあたっている方々からさまざまな情報をいただき、それを 集約整理して適切な情報をフィードバックする「被災地健康運動支援情報ネットワーク仙台みやぎ」を3月31日に立ち上げ支援に行っていただいている方々の 善意が最大限生かされるような支援を行いはじめました。

本来であれば避難民の方に直接アドバイスできればよいのですが、問題をかかえている方は携帯・メール・パソコンを使えない方がほとんどです。幸い宮城県 内の自治体では主に高齢者を対象に、さまざまなタイプ(ノルディックウォーキング、ダンベル体操(鈴木正成先生の)、その他の創作体操、ラジオ体操など) の運動リーダーの養成(簡単な講習会の受講)を鶴ヶ谷研究後(2003年以降)が幅広く行われていましたので、その方たちが活動はじめています。
ただしうまく活動できているのは十分な情報が伝わる組織化されたグループです。実際に現地に視察にいったり、指導にいった自治体や健診団体の運動指導員 (健康運動指導士を含む)から伺うと、問題は複数のグループがかちあう、避難所のリーダーや自治体職員とのすれ違い、ニーズにマッチした運動メニューを提 供していない、被災者の心情を逆なでしてしまう、あるいは運動以外の医療チームを含む支援ボランティアとかちあったり、などさまざまな問題が生じていま す。

いずれも情報不足が原因になっています。今回設立した情報ネットワークではメーリングリストを通じて、避難所にいった支援者あるいは支援団体からの問題 情報を集約し、それを整理統合して支援者にフィードバックするとともに、市区町村の自治体災害対策本部(健康福祉担当部署)および各種ボランティアを受け 付けている社会福祉協議会に情報を提供し、いわば交通整理を行う機能を主とします。
すでに事務局は仙台市健康福祉事業団シルバーセンター内に設置し、情報の集約を始めています。ウェッブサイトもまだ情報はアップされていませんが、健康福祉事業団のHPに間借りをすることになっています。

このような活動を仙台市内、宮城県内で行っております。まだ他県はカバーしていませんが、先生方のご存じの方で関心のある方には是非お知らせ下さい。

永富良一
東北大学大学院教授
医工学研究科健康維持増進医工学研究分野
医学系研究科運動学分野

〒980-8575
仙台市青葉区星陵町2-1
東北大学医学部4号館5F
Tel/Fax 022-717-8586
E-mail : nagatomi@med.tohoku.ac.jp

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