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Vol.104 義援金早期分配と新幹線無料パスを!

医療ガバナンス学会 (2011年4月5日 14:00)


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長尾クリニック(尼崎市)
長尾和宏

2011年4月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


【要旨】
義援金は早く配れば配るほど価値がある。
今回、義援金の早期分配と現物給付としての「新幹線無料パス」を提案する。すでに「医療」には災害救助法が適応されているが、「移動交通費」にも適応するべきである。私は16年前、神戸市灘区で阪神大震災に被災したが義援金は1円も届かなかった。義援金とはそんなもの。
一方、新幹線というインフラの恩恵を被災者に現物給付することは、長期的に見ればPTSD予防や復興支援に大きな役割を果たすだろう。

【尼崎の疎開者のニーズは交通費】
尼崎にある当クリニックの横に、津波で家が流された被災者数名が疎開しておられる。外来受診や往診を通じて、毎日雑談している。被災者らは、疎開地と被災地を往復されている。被災地に帰っても家も仕事も無いとはいえ当然、様々な用事がある。
一番ネックになっているのは、移動の「交通費」だ。彼らは全ての「物」を失っている。持ち合わせの現金も無いまま知人を頼って、尼崎まで疎開しておられる。

【25万円のタクシー代】
尼崎から被災地までのタクシー代は片道約25万円。それを値切りに値切って、半額程度で被災地に一旦帰ろうと試みていた。「4人で乗れば1人3万円程度で被災地に帰れるから、新幹線代とそう変わらない」という。歩けない人もいるのでタクシーの方が助かるそうだ。
しかし新幹線のほうが移動は単純。「もし新幹線が無料であれば、被災地と尼崎を何度でも往復したい」という。全国各地で企画されている「温泉慰安プロジェクト」も移動の交通費がネックとなっている。
私は被災者全員が、国会議員と同様に「新幹線などの公共交通機関に何度でも無料で乗れる」ことを提案する。

【医療と同様に、交通にも災害救助法の適応を!】
医療と同様に、交通にも災害救助法を適応するべきだ。阪神大震災時の被災認定は、全壊、半壊、一部損壊の3段階で行われた。
今回は、震災、津波、原発の3要素が存在するが、今回の新幹線無料パスについては、被災者認定作業は不要と考える。医療における災害救助法適応を、そのまま交通にも適応すればいい。

【不正受給対策は、厳罰広報と大和魂で】
医療機関においてはすでに住所・氏名・生年月日の申告のみで、災害救助法が適応されている。交通も同様。「パス」と書いたが、実際には新幹線の改札で医 療機関の窓口での受診申し込みと同じように、住所・氏名・生年月日の申告のみで可とする。だから「パス」と書いているが、現実には「パス」は不要である。 当然「なりすまし」などの不正受給が予想される。
しかし「不正受給者は、厳罰に処する」ことを政府広報で徹底すればいい。行儀の良い日本人は、これくらいの秩序は維持できるはず。現に医療現場では維持できている。この国難においてこそ、大和魂のリテラシーが活きてくる。

【安心感と癒しは、最大のPTSD予防策】
費用は原則国庫負担とする。JR・交通会社と国との話し合いで決めればいい。義援金も投入すればいい。疎開やリフレッシュ目的の移動によるストレス軽減、疾病予防効果などを勘案すると、この施策の対費用効果はかなり高いだろう。
前回のMRICにおいて「西日本が東日本を支える」と述べたが、これを実行するには移動の確保が大切である。いつでもお金のことを気にせず手軽に移動できるという安心感は、被災者の大きな「癒し」につながる。今後予想されるPTSDへの最大の予防策にもなろう。

【早ければ早いほど価値があるのが義援金】
義援金の支給は早ければ早いほど価値が高い。小額でもいいからできるだけ早く困っている人たちに届けるべきだ。私は阪神大震災で、住居に少なからぬ損害を受けた。全国の知人から「義援金に沢山寄付したよ」との励ましを頂いたが、結局、自分には1円たりとも届かなかった。
その理由の詳細は省略する(要望があれば別に記したい)が、そもそも義援金とはそのようなもの。いくら時間をかけても公平な配分などあり得ない。1日でも早く困っているひとに配って安心してもらってこそ価値がある。
この「新幹線パス」は「医療」同様、平等な現物給付であり、被災者には明日から喜んでもらえる。

【新幹線というインフラを活用すべき】
おりしも九州新幹線が開通した。被災者は新幹線の駅にたどり着けば、九州までも移動して休養できる。いまこそ新幹線というインフラを活用すべきだ。
今回、新幹線と書いたが、可能であれば災害救助法を全国の公共交通機関で適応すべきだ。増発するわけではないので、交通企業にも大きな負担は無いはずだ。無料化はとりあえず6月末までとし、その時点で延長を検討すればどうか。
長期戦への備えは、「足」の確保から。この提案は、政治や行政のリーダーシップで即、実行可能であると思うが、いかがだろうか。

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