
医療ガバナンス学会 (2025年11月6日 08:00)
福島県立医科大学放射線健康管理学講座主任教授
坪倉正治
2025年11月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
今回の原発事故を教訓に、2013年から「新規制基準」が導入され、国内の全ての原子力発電所の安全対策強化が義務付けられました。これまで、自然災害への備えとして、地震や津波・火山の噴火・竜巻・森林火災への対策についてお話ししました。
これらの自然災害に加えて、新規制基準では、米国の同時多発テロ事件のような故意の航空機の衝突や、テロリズムなどによって、想定を超えるような重大な事故が起こった場合であっても、事故のさらなる進展を食い止めるための対策も求められるようになりました。
例えば、テロを含めた何らかの原因で、原子力発電所が大規模に破壊されてしまい、既存の原子炉を冷やす設備が破壊されてしまった場合でも、原子炉へ冷却水を注水できるように、移動が可能な注水車がいろいろな場所に配置されるようになりました。
さらにそれらのバックアップとして、既存の施設から少し離れた場所に、通常に使われるものとは別の緊急時の制御室や、注水設備、電源設備、通信連絡設備などの整備が求められるようになりました。それらは、特定重大事故等対処施設と呼ばれ、事故が起こって外部からの支援がなくとも少なくとも7日間は機能することが求められています。
●施設は活断層ない地盤に
( https://www.minyu-net.com/news/detail/2024120712130330363 )2024年12月07日配信
2013年、東京電力福島第1原発事故を教訓に「新規制基準」が導入され、国内全ての原子力発電所に安全対策の強化が義務づけられました。この基準では、地震や津波、火山の噴火、竜巻、森林火災などへの対策が強化されています。
特に、新規制基準では安全上重要な施設を「活断層」がない地盤に設置することが求められています。では、この「活断層」とは何なのでしょうか。その説明のために、まず地震の仕組みからお話しします。
日本は「地震大国」として知られています。世界中の地震の約10分の1が日本やその周辺で発生しています。その理由の一つが「プレート」と呼ばれる地球表面の岩盤の動きです。
日本は四つのプレート(太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレート)の境界に位置しています。これらのプレートは少しずつ動いており、特に海のプレートは年間数センチから10センチ程度の速度で陸のプレートの下に潜り込んでいます。
この動きで陸のプレートが引きずられてひずみがたまります。やがてひずみが限界を超えると、引きずり込まれた陸のプレートの先端が跳ね返り、その衝撃が「海溝型地震」を引き起こします。11年の東日本大震災もこのタイプの地震です。
ただし、地震の仕組みはこれだけではありません。16年の熊本地震や24年初頭の能登半島地震は、別のメカニズムによるものでした。