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Vol.25239 ダイキンのPFAS汚染巡り、住民らが公害調停へ クボタ・アスベスト公害の弁護士らで弁護団結成

医療ガバナンス学会 (2025年12月17日 08:00)


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Tansa記者
中川七海

2025年12月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

2025年11月18日、市民と弁護士でつくる「ダイキンPFAS公害調停をすすめる会」(準備会)が、大阪市内で記者会見を開いた。年内に控える「ダイキンPFAS公害調停」に向け、申請人への参加を呼びかけた。

公害調停とは、申請を受けた行政が公害の実態を調査し、解決に向けた仲介や裁定を行う制度だ。全国各地で化学物質公害が頻発していた1960~70年代に制定された、公害対策基本法や公害紛争処理法に基づいている。

ダイキン工業は、大阪府摂津市に立地する「淀川製作所」を中心に、大阪市を含めた広範囲でPFOA汚染を引き起こしている。1万種以上存在する有機フッ素化合物「PFAS」の中でも、毒性が強く製造・輸入が禁じられているのが「PFOA」だ。

ところがダイキンは、住民が求める情報開示や謝罪・補償に応じない。不安を抱える住民たちは弁護士とともに、公害調停の場でダイキンがもたらすPFOA汚染を問うことを決めた。

調停を通して、ダイキンに対して情報公開や健康調査の実施などを求め、被害者補償や汚染した環境の回復について協議していく。

不安を抱える住民や摂津市への通勤者などの誰もが申請人になれる。1回目の申請は2025年内を予定しており、1000人を目標に申請人を募っている。

調停で求める3点
「ダイキンPFAS公害調停」は、大阪府に申請する。PFAS汚染に関し、ダイキンに対して求める項目は、次の3点だ。

1. 一切の資料開示
2. 継続的な環境調査・健康調査
3. 住民参加の協議会による汚染対策・被害者補償の枠組み

会見で呼びかけたのは、和田壮平さん、清水信行さん、遠山明文さん、長瀬文雄さんの4人だ。

和田さんと清水さんは、摂津市一津屋地区の住民だ。ダイキンが1960年代以降、約50年にわたってPFOAを製造・使用してきた淀川製作所が立地する。

遠山さんは、摂津市に隣接する大阪市東淀川区の「瑞光寺」の住職だ。瑞光寺にある井戸の地下水は、2021年に環境省が実施した全国調査で、最高レベルの濃度のPFOAを記録。井戸水を使うことはできない。大阪府は、汚染の原因がダイキンであることを認めているが、何ら補償はなされていない。

長瀬さんは「大阪PFAS汚染と健康を考える会」の事務局長を務める。2023年には、大阪府下1200人を対象としたPFAS血液検査を会として実施。淀川製作所に近い住民ほど高濃度曝露している事実などを明らかにしてきた。会見では、ダイキン周辺でPFOA汚染の不安を抱える、子育て世代の住民からの手紙を読み上げた。

住民たちの脇を固める弁護士は、次の8人。アスベスト被害やダイオキシン汚染など、関西での化学物質公害において、住民側に立って闘ってきた経験のあるメンバーが揃った。(敬称略)

池田直樹(弁護団長)、望月康平(事務局長)、村松昭夫、小田耕平、與語信也、加苅匠、青木良和、米田直人

年内に申請人1000人目標
現在、156人の申請人が集まっている。

ダイキン淀川製作所による環境汚染や健康被害に不安を抱く人であれば、申請人に加わることができる。摂津市や大阪市などの近隣住民のみならず、通勤・通学者も対象となる。参加費は、一世帯あたり2000円。弁護士費用などに充てられる。

申請人を検討する住民に向けた説明会も開催される。会場は摂津市内の味生公民館2階集会室で、日程は以下のとおり。

11月24日(月) 18:00〜19:30
11月30日(日) 14:00〜15:30
12月 7日(日) 18:00〜19:30
12月14日(日) 14:00〜15:30
12月21日(日) 14:00〜15:30

申請人の目標は1000人。12月13日(土)に「ダイキンPFAS公害調停をすすめる会」の結成総会を開催し、年内に申し立て(第一陣)を行う予定だ。

申請人の申込、問い合わせ先は以下のとおり。
ダイキンPFAS公害調停をすすめる会(準備会)
〒541-0054 大阪市中央区南本町2丁目1番8号 創建本町ビル2階
大阪PFAS汚染と健康を考える会 気付
TEL:06-6268-3970(代表)、090-8376-1215(窓口:長岡)
FAX:06-6268-3977
※この記事の内容は、2025年11月18日時点のものです。
https://tansajp.org/investigativejournal/12819/

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