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Vol.26051 冬の膀胱炎やデリケートゾーンの蒸れに注意! 女性医師も経験、体の不調を防ぐには

医療ガバナンス学会 (2026年3月25日 08:00)


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この原稿はAERA DIGITA(2026年1月7日配信)からの転載です
https://dot.asahi.com/articles/-/273366?page=1

内科医
山本佳奈
2026年 3 月 25 日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

冬になると、「トイレのことが気になって落ち着かない」という感覚を覚える人は多いのではないでしょうか。外出先で次にトイレに行ける場所を無意識に探してしまう。そんな状態です。

私自身、冬のこの時期、移動中に強い尿意を感じ、30分も経たないうちにトイレに駆け込んだ経験があります。日本にいた頃は、電車を途中下車しなければならないこともありました。アメリカに来てからは車移動が中心になり、帰宅途中に慌ててトイレをお借りできるカフェやガスステーションなどを探すことになり、状況が楽になったわけではありませんでした。トイレに行きたくならないよう、水分は控えていたのにもかかわらず。

こうした経験を通して、冬に多くの人が無意識に選んでいる行動が、かえってからだに負担をかけていることもあるのではないかと考えるようになりました。

膀胱炎は、汗をかきやすい夏に多い病気というイメージを持たれがちです。そのため、冬に起きる不調は見過ごされがちです。しかし、実際には、冬にも膀胱炎が起こりやすい条件がそろっています。問題は寒さそのものではなく、寒さに対応するために私たちが無意識に選んでいる生活習慣にあります。

●膀胱炎の女性が水分摂取を増やすと変化が

代表的なのが、水分を控えることです。尿量が減ると、膀胱内で細菌が洗い流されにくくなります。実際、2018年に発表された研究[※1] では、普段あまり水を飲まない再発性膀胱炎の女性が、1日あたり約1.5リットル水分摂取量を増やしたところ、膀胱炎を繰り返す回数が明らかに減少していました。さらに、再発回数の減少に伴って抗菌薬を使用する機会も少なくなっており、水分摂取量を増やすことが、こうした変化に関与している可能性が示されています。

その後のレビュー研究[※2] でも、水分摂取の確保や排尿を我慢しないといった行動の見直しは、再発性膀胱炎のリスクを下げる可能性があるとまとめられています。これは、特定の薬や治療に限らず、日常の行動そのものが再発に影響し得ることを整理したものです。欧州の泌尿器科ガイドライン[※3] でも、飲水量を増やす助言は、害が少なく実行しやすい予防策の一つとして位置づけられています。

また冬は、長時間座ったまま過ごしやすい季節でもあります。私自身、寒さのせいもあってからだを動かすのが億劫になり、気づくと足を組んだ姿勢のまま過ごしていることがありました。その結果、デリケートゾーンが蒸れやすくなり、違和感やかゆみを感じるようになったのです。

●冬の不調はひとつの原因で起きるわけではない

こうした状況は、実は決して珍しいものではありません。冬はデスクワークや移動中などで同じ姿勢が続きやすく、無意識のうちに通気性の悪い環境が生まれがちです。デリケートゾーン周辺は、男女を問わず湿気や摩擦の影響を受けやすい部位であり、皮膚科領域のレビュー[※4] でも、かゆみは感染だけでなく、蒸れや刺激といった環境要因でも起こり得ることが指摘されています。

このように、冬の不調は一つの原因で起きているのではありません。夏のように暑さや汗といった環境要因が前面に出るのとは違い、冬は水分を控える、排尿を我慢する、長時間座ったまま過ごすといった行動が重なり、結果として蒸れや違和感につながることが多いのです。

では、どうすればいいのでしょうか。対策は、特別なことではありません。少量ずつでも水分をとること、行けるときにトイレに行くこと、1時間に一度は立ち上がって姿勢を変えること。下着や衣類の通気性を意識し、蒸れを感じたら着替えることも一つの方法です。大切なのは、「我慢しすぎない」という意識を持つことです。

ただし、血尿や発熱を伴う場合、あるいは症状が数日以上続く場合には、医療機関の受診が必要です。一方で、違和感の段階で生活習慣を見直すことは、多くの人にとって現実的で安全な選択肢でもあります。

冬の膀胱炎やデリケートゾーンの不調は、寒さそのものが原因というより、寒さにどう対応しているかの結果として起きていることがあります。自分の行動を少し振り返ることが、つらさを繰り返さないための第一歩になるのかもしれません。

【参照URL】

[※1]https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2705079

[※2]https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38599896/

[※3]https://uroweb.org/guidelines/urological-infections/summary-of-changes/2025

[※4]https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15906051/

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