医療ガバナンス学会 (2011年6月15日 06:00)
現在までに累計22組の妊産婦さんに、このプロジェクトをご利用いただいております。
(※詳細 助産院:7組 ホームステイ:2組
アパート:3組 出産後帰宅:5組
利用予定:3組 その他支援(物品の援助など):2組)
当初、地震と津波被害に遭われた妊産婦さんのためにと始めた活動でしたが、その後原発事故の被害が確認されたこともあり、プロジェクトを利用してくださっ ているのは、石巻から身ひとつで逃げていらした妊婦さんもいらしゃいますがほとんどが福島から避難されてきた妊産婦さんです。
避難区域の方ではなくその周辺の方、自主避難の方がほとんどです。
「子ども達は屋外での遊びは原発事故以降全くできず、洗濯物も室内干し、窓も一切開けることができない、というじめじめした室内で過ごしてきた。東京に来てから外遊びができるようになった。」
「福島から出たこともなく、避難したくてもできなかった。プロジェクトのお陰で福島を出る決断ができてよかった。」
とお話してくださる方もいらっしゃいます。
いまの福島で子どもを安心して育てられるとは私にも思えません。「心配しすぎ」「気にしすぎ」などとは到底思えません。
そのような状況で、子どもの安全を守るために、現地で仕事を続ける夫と離れ、東京に避難することを選択し、お産、そして子育てのスタート…これを「個人が 選択する」ということ…想像するだけで余りある大変な決断だと私は思います。夫と離れて暮らす、という心的負担もあります。メンタルケアが必要な方も多く います。
現在は上の子の保育園や幼稚園、長い期間住める住居など、母子が安心して過ごせる生活を支えるために日々奔走しております。
保育園や幼稚園も自治体の動きを待っていてはとても間に合わず、無償で受け入れを申し出てくださった民間の協力をお借りして、対応しています。本当にありがたいです。
保育園に申請するも入る見込みがない地域では、保育ボランティアさんが毎日子どもの面倒を無償でみてくださっています。送迎のボランティアさんが動いてくださっている地域もあります。
住居についても、個人やお寺など無償でお借りできる先にご協力をお願いしています。
すべてがおひとりおひとりの善意で成り立っている現状…それはとてもありがたいことではありますが、このまま善意に頼るだけではうまくいかない、というところへきています。
都営住宅などは赤プリ避難の数百人の方の住居は用意されているとのことですが、自主避難されてきた方には住居はありません。どこの自治体も、住居・保育園・幼稚園ともに積極的には受け入れてくださっていません。
自主避難されてきた方にも住居の提供をお願いしたいです。そしてそれはとても多くの数が必要です。
そして、まず、もう一度考えなくてはいけないことは「避難区域」が適正であるかどうか。
小さな子ども達が、幼稚園児が、保育園児が、小さな子どもだけではない、小学生が、中学生が、外遊びができずに体育館で汗を流しながら室内遊びを続け、汗をだらだら流しながら窓も開けられず授業を受けることがまともな暮らしなのでしょうか?
危ないからこそ外に出られない現状、そこで暮らしを続けることの意味と過酷さ…
「子ども達だけでも避難させよう」という動きもあちこちで出ています。
子どもが親から引き離されることが子どもにとってどんな意味を持つことなのでしょうか?
「疎開」だなんていまは戦時中なのでしょうか?豊かなこの国で起きていることなのでしょうか?
同じ、子を持つ親として苦しい気持ちです。いま一度福島の子ども達、福島の妊産婦さんを守るためにいまの状態でよいのかどうか、考えていただきたい。
日々、福島から来られた母子と接する私からの切なる願いです。