医療ガバナンス学会 (2011年9月9日 16:00)
今回の内容はロハスメディカル8月20日号に掲載されています
医療現場危機打開・再建国会議員連盟幹事長
文部科学副大臣 鈴木寛
2011年9月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
ご存知の通り、「地域」医療人材の偏在、つまり僻地や山間地での医療者不足は、かねてからの懸案です。検討会では、特に大学医学部へ「地域枠」で入学した 地元の学生を、いかに地域に繋ぎ止めるかが論じられました。具体案は、大学病院が主体となり、自治体と協力して彼らを大学の地域医療センターに配属させた 上、連携病院や診療所に向けて派遣・管理を行うもの。地域住民や病院のニーズを満たしつつ、医療者として研鑽を積めるよう配慮します。
また「研究」医の育成も急務です。医学論文数は世界全体と比べ低下傾向で、日本の医療レベルの衰退に繋がりかねません。しかし博士号取得と卒後臨床研修の 両立は困難です。これに対し、「研究医枠」や「学部・大学院一貫コース」を設け、医師免許を持つ基礎医学研究者の養成に乗り出した大学もあります。この動 きを、制度改革含め、国も推進します。
さらに、グローバルに活躍する「国際」医療人材も求められています。医療分野で世界に貢献するにはまず、国際基準に満たない臨床実習を充実させることが必須です。加えて「留学生枠」など、受け入れ態勢も整えねばなりません。
さて一方、検討会で最後まで意見が割れたのが、大学医学部の新設・増員の是非です。
不要論の根拠は、日本は人口減少に転じたから、というもの。医師が過剰になれば収入は大幅減、質の低下を招きかねないとの主張です。
これに対し賛成論者は、お年寄りの数や疾病数・死亡数は増加すると反論。過酷な医師の勤務条件を改善し、女性や若者にも魅力ある職業とするため、また、研 究や医療マネジメント、国際の分野などで活躍する人材確保のためには、増員が必要との意見が提示されました。医学部のある地域は医師の定着率が高いことか ら、空白地に地域枠を重視した大学を作るのも有効との主張です。
どうすべきか、国民の皆様と現場の医療者にぜひ熟議していただければと思います。