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Vol.366 福島県南相馬市・大町病院から(3)

医療ガバナンス学会 (2012年1月15日 06:00)


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南相馬市大町病院
佐藤 敏光
2012年1月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


入院患者数は58名(満床は58名)となりました。1月から3名の看護師が復職、病床が開けない渡辺病院から2名の看護師さんが本院で働いてくれることに なりました。昨年12月から兵庫県保険医協会の計らいで岐阜高山から看護師さん1名がボランティアで働いてくれています。他にリハビリテーションには、い ばらぎOT復興支援隊や運動連鎖アプローチ研究会のグループが週末に来てくれるようになりました。

渡辺病院から来てくれた看護師さんは渡辺病院が復興すれば渡辺病院に戻るでしょう。各地から来てくれる看護師さんや理学療法士さん達もいずれは地元に戻ら れ、地元のために働かれるでしょう。警戒区域の警備のため南相馬に残る警察官とは違い、医療関係者は本来の就職先を離れての活動を潔しとしていません。

ボランテイアで被災地に行こうとしても、特に福島の原発被災地への赴任となると、家族や職場から抵抗が生じるのは尤もなことだと思います。 だとすると、我々南相馬に残った医療関係者は、元々居た職員を頼らざるを得なくなります。実情は今まで福島県外の避難先から戻ってきてくれた看護師さんはいません。 原発への恐怖、特にお子さんに対する低線量被曝への心配、未開通な交通機関や産婦人科・小児科医の居ない不安などから避難先を第二のふるさととして定住化 する動きさえあります。

昨日のニュースウオッチ9で本院の現状が紹介されました。患者を置いて避難したことを今でも後悔し、本院のユニホームを保管していて、夫を置いてでも南相馬に戻ろうと考えたこという元看護師の話には涙せずにはいられませんでした。

一方では、南相馬に残り、小さいお子さんを育てている看護師たちに、放射線障害の危険を無視させていいのかも病院管理者としては無視できない問題となって います。職員に対して病院でできることと言えば、定期的な血液検査と甲状腺の超音波検査、乳腺のマンモグラフィー程度でしょうか。マンモグラフィーは無いので、東電に買ってもらうしかないですが。

12月31日は本院が休日夜間の当番医でした。年に4回くらい廻ってくる一次救急の当番でしたが、74名の患者が受診されました。内16名は15歳以下のお子さんでした。

お子さんは発熱や発疹が多かったですが、中には前日に他院を受診しているのにもかかわらず40℃の発熱のある7ヶ月のお子さんも居て、熱冷ましの坐薬を入れて、すぐに仙台の急患センターに行くよう指示してしまいました。相馬地区にも小児科の当番医は無く苦渋の選択でしたが、この地区で完結できない病気もあ ると親御さんに説明しました。

1月8日は成人式が南相馬市文化センター(夢ハット)で開かれました。例年ですと小高区、鹿島区、原町区が別々に開いていましたが、今年は合同で開かれました。
(http://www.city.minamisoma.lg.jp/shogaigakushu/seijinsiki/24goudou-seijin.jsp)

12:30頃現場近くを車で通りすぎましたが、人影は少なく小規模で終わったようです。南相馬は若い人の住めない町になったのでしょうか。

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